岡山県真庭市の「ジェラート醍醐桜」のパティシエ、山本英伸さんが昨年12月1日、2日にイタリアで開催された4年に1度のジェラートの世界大会「ジェラートフェスティバルワールドマスターズ」で、「アジア&オーストラリア賞」を受賞した。
山本さんは、2019年4月の東京大会、9月の横浜大会で勝ち抜いて世界大会に出場。コロナ禍のため大会はオンライン開催となり、レシピをイタリアへ送り現地の職人に作品を作ってもらうなどの苦労はあったが、見事に地区別のトップ賞に輝いた。
真庭市はジャージー牛の飼育頭数が日本一で、山本さんは真庭市にある酪農家の三代目。自家牧場で採れた新鮮なジャージー乳を使って、こだわりのジェラートを作っている。ジェラート店開業の前には本場イタリアでも研修し、加える素材の大切さを知った。帰国後、果実の加工技術も習得し、地元岡山産の果実などを使ったジェラート作りをしてきた。
受賞した作品は「森のスパイス香る黒文字ラテ」。真庭市新庄村産のクロモジ(黒文字)の木を使ったフレーバーのジェラートに、クロモジの枝、葉、花をイメージした抹茶アーモンド、チョコレート、オレンジソースがあしらわれている。クロモジはクスノキ科の植物で、英語ではスパイスブッシュと呼ばれ、枝葉は爽やかでスパイシーな香りがする。
「黒文字茶を飲み、独特な香りに感動して、ジェラートでも表現したいと思った」という山本さん。クロモジを煮出す時間や量、方法を何通りも試作して組み合わせ、納得いく味を出すのは大変だったよう。「(世界大会への)出場にあたり、たくさんの方に助力いただきました。お客様にも『世界一に挑戦してきます!』と公表していたので、受賞が分かったときには、名前を呼ばれてまずは一安心しました」と率直な思いを吐露する。
その後、うれしさとともに、1位に届かなかった悔しさ、そして東京予選大会から長かった期間など、様々な感情がわいてきたという山本さんは「また機会があれば、世界一を目指して大会に参加したいです。もういつ募集があってもいいようにレシピ開発も進めています!」との意気込みを述べていた。
中国縦貫自動車道「落合」インターチェンジから西へ2キロほどのところにある、山本さんのお店「ジェラート醍醐桜」。付近には店名の由来にもなっていて、樹齢700年で後醍醐天皇が隠岐に流される際に賞賛したという「醍醐桜」もあり、4月上旬~中旬に見ごろを迎える。
同店のジェラートはオンラインショップでも購入可能。山本さんは、「店頭で盛りつけて提供するものは最高の状態で出しているのですが、お取り寄せ用のカップジェラートはスプーンがスッと入るくらい少し冷蔵庫で解凍して、全体を練ってから食べていただくと、なめらかさに加えてジェラートの温度が上がることでより風味が感じられます」と話す。
◆「ジェラート醍醐桜」HP
◆「真庭観光WEB」
・「醍醐桜」の開花時期は渋滞することもあるという。ふもとのカタクリ群生地付近の駐車場から徒歩40分
◆阪神梅田本店 HP
・「阪神梅田本店 全館グランドオープン記念 アイスクリームピクニック」は2022年4月6日(水)~11日(月)、8階催事場で開催(最終日は午後5時まで)