「おとぎの国のロシアの 夢のおソリが運んでくれた パルナス パルナス モスクワの味」のフレーズで有名な、ロシア民謡調のCMソングが関西で一世を風靡した洋菓子製造業・パルナス製菓(2002年解散)。その復刻や魅力の発掘に取り組む「パルナス復刻委員会」が、4月2日~3日、兵庫県加西市で「心ばかりのパルナス展」を開いた。(※記事中写真は復刻委員会、創業家など提供)
「モスクワの味」がキャッチフレーズだったパルナス製菓のルーツは、1947(昭和22)年に兵庫県加西市出身の故・古角(こかど)松夫氏が神戸・三宮に開いた「三栄製麺所」。そこでロシアケーキなどの製造を始めた。1952(昭和27)年に株式会社化して大阪市北区にパルナス製菓を設立、創業から今年(2022年)で70年になる。企業清算を終えて解散してからも20年の節目で、本来は記念イヤーとして盛大なイベントを、と考えていたが、2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻を受け、いったんは白紙に戻そうとした。しかし、委員会は「平和を愛したパルナス創業者・古角氏の思いを伝えたい、豊かな食卓は平和のもとでしかありえない」と開催を決意した。
創業者と同郷で、「パルナス復刻委員会」を立ち上げた藤中健二さんは、「ロシア料理の『ピロシキ』も『ボルシチ』」も、ルーツはウクライナにあった。パルナスのロゴマーク”パルちゃん”の原作となった”ネズナイカ物語”の作者、ニコライ・ノーソフさんもウクライナ出身。ロシアにとってウクライナは日本で言えば古都・奈良のような美しい存在。”モスクワの味”、そのルーツはウクライナにあった」と話す。
1950年代の日ソ国交回復の影響は大きく、古角氏は旧ソ連最大の国営菓子メーカー「国立ボルシェビーク製菓工場」の女性職人、エフドーキナ・アンドレエブナ・オージナさんのから技術指導を受けた。そして、「古角氏はオージナさんとの約40年にわたる平和的交流を続けた。今のこの時期だからこそ、食を通じた美しい友情という事実があったことを知ってい欲しい」と訴える。
オージナさんは信条として、「真の友情の中にこそ、大きな平和と幸福が生まれてくるものです」。「国民の食卓を喜ばせるのは私たちの義務です」とも伝えていたという。
●パルナス復刻プロジェクト
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