高齢の父親の遺体を約6年間、兵庫県明石市内の自宅で放置したほか、死亡後に 1000万円近い老齢年金をだましとったとして死体遺棄・詐欺罪に問われた次男(43)に対し、神戸地裁は18日、懲役2年8か月の実刑判決を言い渡した(求刑・懲役4年)。次男は「父の年金を頼りに生活していたので、黙ったままにしていた」と起訴内容を認めていた。
判決によると、次男は2015年12月下旬、自宅で父親(当時74)が死亡しているのを知りながら、その遺体を2021年12月まで放置した。次男は父親の死亡届を出さず、あたかも生存しているかのように装い、父親名義の口座に老齢年金を37回入金させ、計約920万円を詐取した。
父親は長男(兄)と3人暮らしで、遺体は自宅の1階和室で見つかり、ミイラ化していた。神戸地裁は判決で「6年もの間、実父の遺体を放置するなど死者への尊厳が害された。さらに年金で生活しようとしたのは身勝手であり、被害弁償もない」との趣旨で非難した。
2021年12月、明石市の福祉担当職員から「何度訪問しても会えない高齢者がいる」と署に通報があり、発覚した。