今年4月、「うまい棒」が42年間の歴史の中で初めての値上げを発表し、「ついに」「子どもたちの聖域が……」と話題になりました。一方、ここ数年、新型コロナ禍によるおうち時間増加、おやつの需要の高まりや、大人のおつまみに駄菓子が選ばれる機会が増加したことで、再び駄菓子に注目が集まっています。
大阪・八尾市にある駄菓子メーカー「チーリン製菓」業務部企画開発課長の山本宗利(やまもと・むねとし)さんに、詳しい話を聞きました。
チーリン製菓の駄菓子の売り上げは、新型コロナ感染拡大の影響で一時半減したこともあったそうですが、最近では、昭和レトロブームなどの後押しもあり、再び駄菓子が注目されている実感があるということでした。
ただし、3年前の2019年10月に消費税増税が実施された際には、駄菓子メーカーならではの苦難もあったそうです。消費税率改定で、個性的な容器やおもちゃなどが伴う駄菓子には、果たして8%の軽減税率が適用されるのか、それとも10%の消費税率が適用されるのかが大きな話題になりました。結果、酒瓶などを模した容器入りの菓子は8%、笛やなどがついた商品は、遊べる玩具としての割合が大きいということで10%が適用されることになりました。
そこで問題になったのが、チーリン製菓の定番人気商品「プチチョコ」や「パイポチョコ」です。容器に付いたおまけ部分の笛をなくし、軽減税率が適用される商品としてリニューアルするかどうか……。お客さんからの「なくさないでほしい」という声も届き、相当悩んだそう。最終的には、「プチチョコ」や「パイポチョコ」を税率10%で継続販売しつつ、笛の部分をシールで塞ぎ、使用にひと工夫が必要な形にした「ゴーゴーチョコ」や「ゴーゴーパイポチョコ」を税率8%適用商品として新発売しました。
2020年12月には、自宅で駄菓子屋さんごっこができるキット「おうちで駄菓子屋さん」を発売。また、昨年(2021年)6月には、パッケージに印刷された二重丸、丸、三角、バツ印で占いが楽しめる人気商品「プチプチ占い」に、全部二重丸が加わったハッピーなレア商品を取り入れました。コロナ禍で社会全体が暗い雰囲気になるなか、子供達に少しでも楽しみを提供したいという思いから生まれた様々なアイデア商品が、度々話題になっています。
神戸市兵庫区の駄菓子店「淡路屋」の店主・伊藤由紀(いとう ゆき)さんにも話を聞きました。