「にっちもさっちも」。この言葉、最近は耳にすることが減ったような気がします。以前は「にっちもさっちもいかへん」なんていう人もいました。
さて、その意味ですが、『広辞苑 第七版』(岩波書店)には…
「にっちもさっちも【二進も三進も】(そろばんの用語から)金銭の融通のきかないさま。また、一般に、物事が行き詰まって身動きのとれないさまにいう。どう想定しても。どうにもこうにも。」とありました。
「にっちもさっちも」が、「二進も三進も」という字を書くとは……まったく知りませんでした。
三省堂の『新明解国語辞典 第八版』にも、同じ漢字表記の上で、「進退きわまって、どうにも動きのとれない状態にある意を表す。」と載っていました。
では、語源は何でしょうか? 『日本語源大辞典』(小学館)を開きました。
「算盤の割り算の九九の『二進一十(にしんいんじゅう)』『三進一十(さんしんいんじゅう)』から出た語で、これらがそれぞれ、二を二で割ると割り切れて商一が立つこと、(中略)を意味するところから、計算のやりくりをさす。(以下省略)」
などとありました。「商一」の「商」とは「割り算の答え」のことを指します。
語源は「そろばん」から、ということで、東京の日本珠算連盟の方に伺いました。