誘拐犯と被害者の女子児童―心に傷を抱えるふたりが、15年経って密かに通わせる愛。切ないけれど繊細で純粋に結ばれている男女の生き方を描く物語。映画『流浪の月』が5月13日(金)、公開されます。
主人公は、ファミレスでアルバイトをする20代半ばの女性・更紗(さらさ)。上場企業に勤める恋人・亮と一緒に暮らしていて、結婚間近です。ある地方都市で静かに生活しているのですが、更紗の名前はインターネットで検索すればすぐに出てくるほど有名です。
15年前―更紗が10歳のとき、家に帰りたくないことから公園でひとりで本を読んでいました。雨が降ってびしょぬれになっている更紗を見かけ、19歳の男性・文が傘に入れてくれました。
「うち、来る?」
もうひとりの主人公・文は孤独な大学生です。文は自分のアパートに更紗を連れて帰ります。
更紗は父を亡くしたあと母が失踪し、伯母の家に引き取られていましたが従兄から嫌なことをされていて、家に戻りたくありません。文が食事を作ってくれたりゲームに付き合ってくれたりして、更紗は文の部屋にいると安心して楽しく過ごせました。
ふたりは2か月間、共同生活をしていましたが、文が更紗を誘拐した容疑で逮捕されます。「更紗ちゃん誘拐事件」として世間は大騒ぎとなり、文は“ロリコン誘拐犯”、更紗は“被害者の女子児童”として注目が集まったのでした――。