運動不足解消、運転免許の返納、新しい趣味など、様々な理由で「自転車」の利用者が増えている。特にコロナ禍では、利便性が高く感染リスクが少ない交通手段として好まれ、市場は急速に拡大。帝国データバンクによると、2020年度には販売額が2100億円と、過去最高を更新した。一方で、きちんと整備されていない自転車や、交通マナーを無視した無茶な運転などによる事故も問題となっている。
そこで、自転車専門店「サイクルベースあさひ」を全国展開、自転車の開発や修理・点検も行う「株式会社あさひ」(本社:大阪市都島区、以下あさひ)に、自転車をめぐる近年の状況の変化などについて聞いた。
それによると、実際に自転車需要は増加しているという。同社の20年度の売上高は、前年比16.0%増の694億円、純利益も84.4%増の47億円で、売上高・純利益いずれも過去最高を更新。21年度には売上高714億円となり、店舗数も21年9月に500店舗を達成したという。
「密を避けるため電車通勤をやめたり、コロナ禍を機に、趣味として興味はあったけれど手を出せていなかった人が乗り始めたりということが増えていると思います」(担当者)
なかには、今まで自転車にあまり乗ってこなかった人が乗るケースも多いようだ。担当者は「普通の自転車が不安で、電動アシスト付きに乗りたいというケースも多くなっていると感じます」と話す。実際、20年度の全国での電動アシスト付き自転車の売り上げは、5年前に比べ50%増。同社の22年2月期決算でも、電動アシスト付き自転車の売上げは、前年同期比約20%増と躍進を見せている。
また、スポーツ自転車ブームもある。ソロキャンプブームやキャンプ用品の小型化から「グラベルロード」(砂利道などのオフロードにも対応した自転車)というジャンルも人気だ。
ただ、免許も車検も必要ない気軽な乗り物であることから、メンテナンスの重要性や交通ルールの認識の甘さが原因の事故も多い。自転車は、道路交通法上「軽車両」であり、一歩間違えれば危険を伴う。通販で購入した自転車を組み立てて走行中に前輪やペダルが外れてしまうアクシデントも。ブレーキのワイヤーが伸びたりすり減ったりした状態なども危険だ。
点検したり使い方を気を付けたりすれば防げる故障もある。「特に多いのは空気圧管理。空気が少ない状態で乗っている人は多いですね」と担当者。パンクでなくとも空気は自然に抜けていく。普通の自転車なら月1回程度、タイヤの細いロードバイク等は1~2週間に1回程度空気を入れるといいそう。空気圧不足はタイヤや中のチューブを傷める原因になるが、入れ過ぎにも注意が必要だ。
では、メンテナンスはどれくらいの頻度が適当なのか。