阪神電気鉄道は列車内のセキュリティ向上と犯罪の抑制を目的として、営業列車内に防犯カメラを設置する試験を実施する。5月24日~8月31日の間、走行中の営業列車内において、映像録画、音声録音を行い、遠隔からのリアルタイムでの確認を運転指令室などで行う。対象は大阪梅田-新開地間の普通車(4両編成)1列車。
2021年10月、京王電鉄線(東京都調布市)特急の乗客切り付け事件や、同年11月、九州新幹線(熊本県内)の車内放火未遂事件など、走行中の鉄道での事件をいかにして防ぐかが課題となっている。
実験では1両につき3台のカメラを車両のドア上部に設置し(1編成で12か所)、車内の様子を録音・録画する。その様子を運転指令室などでリアルタイムで確認するという。
カメラには人工知能(AI)を搭載している。画像を解析して混雑の度合いなども調査し、安心・安全な車内環境の整備や利便性向上につながるサービス提供への参考にしたいとしている。
試験期間中は、乗客に撮影を知らせるステッカーをカメラ設置部分近くに貼付。記録した映像、音声は1週間をめどに自動的に削除され、警察など捜査関係者からの要請を除き、外部へ開示されることはない。
列車内の防犯カメラについて、近畿では近畿日本鉄道が2024年秋に導入する新型一般車両に設置すると発表している。
またJR西日本は、2022年から在来線車両での設置工事に着手し、2023年度末をめどにすべての新快速と関空・紀州路快速に設置するなど、利用客の多い京阪神地区を走行する車両のうち、約5割の設置を目指す。また特急車両についても、サンダーバードなど、京阪神地区を発着する車両から、順次設置し、同年度末をめどに約7割の設置を目標としている。