この春から新生活を送る人の中には、地元の魅力に改めて気付いた人もいるかもしれない。地元を少し離れたところで生活しながら、その魅力を発信し続ける人がいる。兵庫県神戸市出身のイラストレーター・こもりあやみさんだ
■「神戸制服コレクション」
こもりさんの代表作の一つが「神戸制服コレクション」。神戸市内の高校の女子制服を網羅したイラストで、2019年にTwitter で広まり、地元紙の神戸新聞にも掲載されるなど話題になった。
制作のきっかけは、2012年、AKB48の中心メンバーだった渡辺麻友さんが出演する企画。当時、渡辺さんが47都道府県の学校の制服を着たMVが制作されていた。こもりさん自身、もともと神戸の高校の制服のデザインが好きだったこともあって生まれたのが「神戸制服コレクション」だった。
こだわったのは、カタログやマネキンではなく、実際にその学校の生徒が着ているような雰囲気を出すこと。
「バス停に普通にいるような高校生を描きたかったんです」(こもりさん)
とはいえ、学校ごとの着こなしの情報を集めるのは難しい。少ない情報をSNSなどからかき集めたが、特に公立高校は情報が乏しかった。しかし、イラストが拡散されるにつれ、やがて卒業生などから情報が集まるように。新情報をもとに毎年手を加え、現在は「阪神制服コレクション」も描いている。
■新たなチャレンジが広げた世界
こもりさんは、2010年から、本業のオフィスワークの傍ら、街を紹介するコンテンツの制作をブログなどで始めた。今ほどSNSが盛んではなかった時代。写真を中心に投稿していたものの「もっといろんな人に見てほしい」と一念発起「写真より多くの人の目を引くかもしれない」とイラストの学校に通った。元々絵が好きで学生の頃からよく描いていたのを、基礎から学ぶことにしたのだ。
近年は、神戸銘菓や神戸の店の看板など、地元にまつわるイラストや写真をSNSに投稿。地元でも一部の人しか知らないような神戸の魅力を発信し続けているこもりさん。「制服コレクション」をきっかけに、地域からのイラストの依頼が増えたそう。こもりさん自身が一番好きな制服だという神戸学院大学附属中学校・高等学校のクリアファイルの製作をはじめ、イラスト制作以外にも、市内の高校の授業の一環で地域とコラボした「仕事服コンテスト」の審査員を務めるなど、活動の場が広がっている。