サッカー・J1は29日、J1リーグ戦第16節が行われ、ノエビアスタジアム神戸でのホームゲームに臨んだヴィッセル神戸は北海道コンサドーレ札幌を4-1と下し、4試合ぶりに勝利した。今シーズン2度目の4得点で2勝目を得て、勝点を11に伸ばしたヴィッセル。依然として最下位(18位)のままだが、同日敗れた16位清水エスパルスと17位湘南ベルマーレ(ともに勝点13)との勝点差を2に縮めた。
MFアンドレス・イニエスタ選手が5試合連続、FW武藤嘉紀選手が6試合連続で、それぞれ先発に名を連ねたこの試合。ヴィッセルは前節からスターティングメンバーを2人変更し、第15節ジュビロ磐田戦で約2か月ぶりに戦線に復帰したMF橋本拳人選手が、ヴィッセル加入後、初先発。また、FW小田裕太郎選手は3月6日の第3節サンフレッチェ広島戦以来となるスタメンに名を連ねた。ベンチにはFW大迫勇也選手が第13節サガン鳥栖戦以来、3試合ぶりのメンバー入り。一方、主軸の1人であるMF山口蛍選手は今シーズ初めて試合登録メンバー18人からも外れた。
スタジアムの日陰でも気温が30度近くとなり、暑い日差しを受けるとすぐに汗がしたたるような環境のもと、午後1時7分にキックオフされた試合。ヴィッセルは前半、ワンチャンスをいかして先手を取る。17分、右コーナーキックから相手がクリアしたボールをペナルティーエリア外で待っていたのは、DF山川哲史選手。ダイレクトで右足を振り抜くと、グラウンダーの強シュートはゴールネットに突き刺さった。「空振りしないように当てにいったのと、ピッチがよくて、スリッピーでうまく転がってくれたので(決まって)よかった」(山川選手)。
試合前日、「自分たちのためにもチームのためにもサポーターの方のためにも、試合に勝つというのは、全員が強い意志を持って今やっている。最後、勝利できるように、後先考えずに試合に全力で、チーム全員で挑みたい」と気合いを込めていた背番号23。尼崎市出身、クラブ育成組織で育まれ、筑波大学を経て2020年からヴィッセルトップチームでプレーする長身DFが、公式戦初ゴールを大事な試合で記録した。「あの景色みたいなもの(ゴールとその後の歓喜)は、今後、一生忘れることはないんじゃないかなと思います」(山川選手)。
1点をリードした後は、両ワイドも攻撃的な位置に構えて前に5人が並ぶように攻める札幌に主導権を握られたヴィッセル。深い位置からの折り返しを許し、ピンチとなるシーンも見られた。それでもゴール前での体を張った守備やクリアで最後のところでは失点を防ぐ。攻撃ではビルドアップに苦労するも、自陣での守備から武藤選手を軸としたカウンターで活路を見いだそうとしていた。
1-0で折り返した後半、相手のサイドチェンジへの対応をすべく、ロティーナ監督が手札を切る。小田選手に代えてMF郷家友太選手を右サイドに投入、汰木康也選手を本来の左に回すと、ヴィッセルは前半に比べて敵陣でボールを持つ回数が増えだす。その起点となったのは左サイドだ。53分には左サイドでイニエスタ選手や橋本選手らが絡んでチャンスを作り、ゴール前の郷家選手がヘッドで合わせるシーンも。55分にはMF大﨑玲央選手とのワンツーで汰木選手が左サイドを抜け出してチャンスメイク。最終的にゴールにつながらなかったが、札幌の守備にプレッシャーをかけていく。
しかし、次の1点はアウェイの札幌に。58分、ヴィッセルゴール前に送られたクロスフィードに、前に出てボールをキャッチしようとしたGK前川黛也選手だが、ボールをハンブル。これを見逃さなかった札幌FWドウグラス・オリヴェイラ選手に右足でゴールを決められ、試合は振り出しに戻った。
その直後、ヴィッセルはイニエスタ選手に代わり、失点前から準備していた大迫選手をピッチに送り込む。