暑くなると食べたくなる「わらび餅」。もともとは蕨(わらび)の根から採れるでんぷん=「本わらび粉」を用いる日本古来のお菓子ですが、市販されている商品は、とくに最近多彩に。しかも、関西と関東で食べ方に違いがあるのだそう。
和菓子メーカーで、スーパーマーケットなどで見かける透明なわらび餅の生みの親・明日香食品株式会社(大阪府八尾市)の中野文子さんに、最近のわらびもち事情や東西の違いについて聞きました。
――無色透明のわらび餅をお作りになっていますね。かつては"透明"ではなかったのですか?
当社は1975年に創業し、80年代からわらび餅を販売しています。当時スーパーで売られていたわらび餅は、芋のでんぷんから作れられた餅にきな粉をかけるのが一般的でした。
しかし、芋のでんぷんで作ると灰色に濁ってしまい、あまり見た目がよくない……。そこで、タピオカでんぷんを使用。92年に透明なわらび餅が誕生しました。涼しげな見た目で大ヒット、2000年には首都圏でも販売を開始しました。
――関東でもすぐにヒットしたのでしょうか?
いいえ。当時、関東にはわらび餅の文化はなく、「くず餅」が主流でした。関西と関東の「くず餅」の違いが原因で、すぐには受け入れられませんでした……。
関西が、葛粉を使った透明なくず餅にきな粉をかけて食べるのに対し、関東は、小麦粉で作った白い餅にきな粉と黒蜜をかけて食べるのが一般的。「きな粉だけじゃ餅は食べられない! 黒蜜もつけて欲しい!」との要望があり、現在の東日本(向け)商品が誕生しました。
――西日本向けと東日本向け、どんな違いが?