弾むように階段を降りていくさまを楽しむバネのおもちゃ「トムボーイ」。1960年代、小学生を中心に人気を博し、当時、おもちゃ屋さんやお祭り屋台の景品のアイキャッチとなるほどでした。
実はこのトムボーイ、販売当初は工業用ベアリング部品の「止め輪」を作っていた「三光発條株式会社(現在はサンコースプリング株式会社)」が製造をおこなっていたそうです。残念ながら、現在は生産ラインがなくなったため製造・販売はしていませんが、トムボーイを受け継ぐ類似品は各社で多数販売されています。サンコースプリング株式会社営業統括部の川村さんに、今もなお愛され、懐かしまれるトムボーイの魅力についてお話を聞きました。
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――トムボーイが誕生したきっかけを教えてください。
【川村さん】 米国の「スリンキー」という玩具を見た方が、初代社長・戸室康平なら作れるはず、と話を持ち込まれたのがきっかけです。
「トムボーイ」という名称は、英単語の「TOMBOY」=「おてんば娘」が発祥です。この玩具で遊ぶ子どもたちがおてんば娘のように元気に育ってほしいという願いを込めて名付けられました。また、階段を降りる様子がおてんば娘に似ているからとも言われています。
――当時はどれくらいの需要があったのでしょうか。
【川村さん】 ピーク時には年間30万個ほど販売され、発売3年後ぐらいから専用ラインを増設しました。玩具業界では「驚異的な七不思議」と言われていたほどです。意図的な販売戦略で10年以上売れ続けておりました。
類似商品が多いなか、家庭の階段をきれいに降りることができるのはトムボーイだけだったのです。