2月に在位70年を迎え、今月、プラチナジュビリーとして記念祝賀行事が盛大に行われたイギリス・エリザベス女王の初長編ドキュメンタリー。映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』が6月17日(金)から全国公開されます。
イギリスの君主・エリザベス女王(96歳)は1952年2月6日、父ジョージ6世の死去に伴い25歳で即位しました。在位期間はイギリス史上最長です。
この作品は1930年代の子ども時代から現代までのアーカイブ映像を見せながら、女王の素顔を伝えています。
ニュースで聞くコメントや公務の様子から厳格なイメージを持つ人が多いと思いますが、このドキュメンタリーを見ると180度変わるでしょう。エリザベス女王はユーモアにあふれていて、とてもキュートでチャーミングです。時代を彩った数多くの音楽が背景に流れて、女王の愛らしい姿を強調しています。
例えば、競馬場を訪れた場面。若い頃の女王も現代の女王も、楽しそう。フレッド・アステアの「チーク・トゥ・チーク」をバックに、ひいきの馬がトップを走る姿に小躍りしたり、馬券が当たってはしゃいだりする映像が披露されます。
ロイヤル・ヨット「ブリタニア号」のシーンでは、デッキで鬼ごっこのようなゲームをして楽しむ様子を見られます。
1947年にフィリップ殿下との結婚を発表し、女王は「今日から“私は”ではなく、“夫と私は”とお話しします」と宣言します。スピーチの冒頭として「夫と私は」のコメントばかりをつなぎ合わせた映像が続き、ジョージ・フォーンビーが歌うコミカルな恋の歌「Leaning On A Lamp Post」が流れます。
戴冠式は1953年6月2日に行われましたが、女王が王冠の重さについて率直に語る場面が出てきます。
「扱いにくいの。幸い父と私は頭の形が似ていた」
「原稿を読むときは紙を上げなきゃいけない。うつむくと首が折れるか王冠が落ちるの」
「王冠って不便なところも多いけれど重要なものよ」
物理的な重さと身につける責任、二重の重さがあることが伝わります。
政府要人やアーティストらが女王に謁見するときの手続きを説明する様子はコメディーのようです。最初は、“女王陛下(Your Majesty)” と話しかけて、それ以降は“マーム(Ma’am)”と言うしきたりだそうです。ひざまずく手順も決まっていて、台の左に左足を置き右膝をつきます。贈答品を手渡しすることはできず、事前に女王側へ送ったものをその場で見せるだけです。立ち位置などを決めるリハーサルが行われ、そのときは体格の似た代理の女性が女王役として活躍します。