6月4日、世界最高齢でヨットによる太平洋単独無寄港横断(69日間)を達成した海洋冒険家・堀江謙一さん(芦屋市在住・83歳)が4日、兵庫県庁(神戸市中央区)を訪問し、斎藤元彦知事から感謝状が贈呈された。
感謝状は、堀江さんの航海が県民に大きな勇気と希望を与えたとして授与された。堀江さんは「60年ぶりの”太平洋ひとりぼっち”、夢を夢とせずチャレンジして無事帰還できました。多くの皆さんの変わらぬ応援のおかげです」と述べた。
斎藤知事に航海中の心境を問われた堀江さんは「初めてのことではなかったので、おおよそのこと(危険や天候不順など)は想定できたが、何よりも大きな天候トラブルがなく良かった。ただし、反省点は多々ある。次の航海では、もっとうまくやりますよ」と笑った。
今回の航海は特別だった。60年前と異なり、アメリカ・サンフランシスコから日本・西宮への逆コース。そして「コロナ禍での航海、とりわけ入出国にはPCR検査での陰性の証明書提出などの厳しい条件があり、常に“ハラハラドキドキ”だった」と振り返った。
体のコンディションはずっとベストだったという堀江さん。帰還後もこの調子が継続しているという。
長い航海、主食は(レトルト)カレーと、コーンフレークだった。特別な料理の技術は必要なく、十分に栄養が摂れるため重宝した。
堀江さんが子どものころは戦時中でカレーなどなかったが、戦後に母親が作ってくれたのを口にして「これ、一生いけるな(食べ続けられるな)」と思ったという。いまだに大好物だ。
帰還の地・新西宮ヨットハーバーには、前日の3日も出向いた。桟橋に浮かぶ相棒「SUNTORYマーメイドⅢ号」の機材の整頓、航海中に申請していた無線局の解除作業などで忙しい。
小型船舶免許2級を持つ斎藤知事は2021年12月、堀江さんを激励するため、新西宮ヨットハーバーを訪れ、自ら操縦して並走したことがあった。4日、改めてグータッチをした斎藤知事は「堀江さんは天性のヨットマン。体中に活力がみなぎっている。表情の力強さを見ると、挑戦ってすごいと改めて感じた。ぜひ、これからも挑戦を続けてほしい。兵庫の子どもたちにも、こうしたことを伝える場を」と希望した。
堀江さんはラジオ関西の取材に「ゴール時に比べたら、だいぶ、顔は白くなったかな。それでも手の甲は日焼けしたまんまの色。この色がなじんできたかも知れないね。帰ってきて1週間は体がほてってたよ。まるで海水浴帰りみたいに」と話す。