小中学校でのおなじみアイテムといえば「上履き」。ちょっとルーズに履いていることで先生に叱られたり、洗濯するのが面倒だったり……など、上履きにまつわる思い出もあるはず。
ところが、兵庫県神戸市では「土足制(室内で靴を履いたまま行動すること)」が採用されており、上履きや下駄箱が無い学校が多いのだとか。
そんな“神戸あるある”が本当かどうか確かめるべく、日本全国の幼稚園や学校で使用する上履きシューズや体育館シューズなどを扱うメーカー・ラッキーベル株式会社(神戸市長田区)の伊藤さんに話を聞いてみることにしました。
神戸で育った伊藤さんいわく、神戸の小・中学校では約90%近くが土足制で、子どもたちも「土足が常識」と思っているとか。
「私も弊社に入り、全国の小学校と関わるようになるまで土足が当たり前と思っていました。それほどまでに、神戸の学校内では土足が根付いています」(伊藤さん)
土足制が広まった理由は定かではないものの、有力な説として、港町としての土地がら外国人居留地や異人館が身近にあったことがあげられます。
1868年、神戸では明治時代の幕開けとともに神戸(当時:兵庫)港が開港されました。そこから外国人居留地の整備が始まり、市内では外国人を含め、人口が一気に増加。
「開港に伴い急速に発展した神戸では、学校整備を急ぐ時代があったようです。そのため、大正期(1920年ごろ)に、国内で最も早く高層化に適した鉄筋コンクリート構造の校舎が採用されました。神戸は山と海に囲まれ坂も多い町ということもあり、狭い敷地と人口増加に対応した建物を作る必要があったそうです」(伊藤さん)
限られた敷地に作った校舎では、場所を取る「下駄箱」を置くことができないため、上履きに履き替えず、靴のまま移動するようになったという説です。
伊藤さんが当時を振りかえってみると、確かに校舎の構造は特殊だったようです。