兵庫陶芸美術館(兵庫県丹波篠山市)で、特別展「受贈記念 平井昭夫コレクション × 三浦徹コレクション やきものを愉しむ ―二人のまなざし―」が開かれている。神戸市に住む2人の目利きが集めた現代陶芸コレクションを主とする展覧会。
同館学芸課長の仁尾一人さんによるこのリモート・ミュージアム・トークでは、見どころや作品の背景などについて、3回にわたって紹介する。第1回は「平井昭夫コレクション」。
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兵庫陶芸美術館では、8月28日まで特別展「受贈記念 平井昭夫コレクション × 三浦徹コレクション やきものを愉しむ ―二人のまなざし―」を開催しています。
洋画材店を営んでいた平井昭夫氏(1931~)と元医師の三浦徹氏(1937~)はいずれも神戸市在住のコレクターで、2019年から2021年にかけて現代陶芸を中心とする合計236件の作品をお二人から寄贈していただきました。
今回紹介する作品は、平井昭夫氏が感銘を受けた河井寬次郎(1890~1966)と、彼に師事した上田恒次(1914~87)、生田和孝(1927~82)の作品です。平井氏は、1952年から額縁、洋画材の販売店を営み、職業柄、絵画や工芸に造詣が深く、洋画家の小磯良平(1903~88)とも交流がありました。
01) 河井寬次郎 三色打薬扁壺(さんしきうちぐすりへんこ) 1962年頃
横長の角張った胴部と直立する口部は、赤、緑、黒の釉薬(ゆうやく)で無作為に彩られています。これは、三色の釉薬を柄杓や太筆で打ち付けた偶然の景色であり、河井が70歳を過ぎた頃の仕事です。
02) 上田恒次 鶉手陶筥(うずらでとうばこ) 1973年頃
色や質の異なる土を組み合わせて模様とする練上は、上田が河井の助手を務めた際に習得した技法です。鶉(うずら)の羽のような縞目模様は、透明な釉薬を掛け、薄く海鼠(なまこ)状に留まり、上田特有の仕上がりとなっています。