ゲリラ豪雨による増水で子どもを含む5人が死亡した神戸市灘区の都賀川で起きた水難事故は28日、発生から14年を迎えた。
2008年7月28日午後3時前、快晴だった神戸市の上空の様子が変わり、激しい雷雨に襲われた。水位は10分ほどで約1.3メートル上昇して濁流が襲い、子ども3人を含む5人が死亡した。
事故で犠牲になった子どもと同じ学童保育所に子どもを預けていた神戸市の谷口美保子さんは、市民団体「7月28日を『子どもの命を守る日に』実行委員会」を事故の翌年、2009年に立ち上げた。
■突然の豪雨、命の危険迫る瞬間はどこにでも~「7月28日を『子どもの命を守る日に』実行委員会」谷口美保子さん
夏を迎え、このような事態は各地で起きている。7月3日に兵庫県加東市の闘竜灘(とうりゅうなだ)で、男女7人が、中州に一時取り残された。防災ヘリなどが出動して全員が救助され、けが人はなかったが、谷口さんは「地球温暖化の影響で、特に夏場は想定外の現象が起こり得る。常に危機意識を持ってほしい」と話す。当時、加古川上流で激しい雨が降り、急激に増水したとみられるが、「命の危険が迫る瞬間だったのではないか。だからこそ、都賀川水難事故の教訓を生かしたい」と訴える。
事故の教訓を後世に残すために、パネル展「都賀川水難事故から防災を考える」が、今年も現場近くの神戸市立灘区民ホールで開かれている。(子ども向けパネル展示は1階ロビーで8月9日~8月31日 月曜休館)。対象は小学校低学年からで、事故の原因を知り、考える形式にした。
谷口さんは「14年経ち、子どもを持つ親の世代がこの事故の記憶があるのかどうかもわからない。神戸に住む子どもたちに、天候の変化による危険性を察知する力をつけてもらいたい」と話す。