近年、若者を中心に大麻の乱用による検挙者が全国的に急増している。こうしたことから兵庫県警は2022年7月に「大麻事犯総合対策推進本部」を設置し、1日、発隊式が行われた。
推進本部には刑事部門・生活安全部門・地域部門の垣根を超え、16の部署が関わり、1日の発隊式には警察官約50人、薬物探索犬2頭が臨んだ。
■大麻所持などの検挙、約7割が20代以下 10代も増加
兵庫県警によると、検挙人数は2017年の189人(※うち若年層が約62%・118人)から2021年は312人(※同72%・226人)と激増している。2021年までに9年連続で最多を更新した。
※ここでいう若年層は30歳未満(20代以下)
19歳以下の検挙人数は2017年は34人(全体の約18%)から2021年は58人(同約19%)と深刻な事態となっている。全体的な検挙人数の増加に比例する傾向にある。
10年前の2012年と比べると5倍にのぼり、2022年上半期だけでもで159人と、過去最高だった2021年を上回るペース。
捜査関係者によると、これまで薬物事案といえば覚せい剤が中心だったが、近年では大麻が主流となっているという。
日本の治安が諸外国と比べて保たれていたのは、薬物の取り締まりが一定の成果を挙げていたからとされる。当時は暴力団を中心とした密売組織を検挙することが多かったが、近年はSNSを通じて、若者が興味本位で大麻を手に入れ、まん延するケースが増えている。兵庫県警の桐原弘毅本部長は1日の発足式でこの点に触れ、「現在は大麻の乱用が拡大し、治安を守る根底が脅かされている。これを何としても食い止めるために積極的な取り締まりを推進してほしい」と訓示した。
大麻の栽培には家屋や工場跡などの施設に、それ相応のインフラ・資材が用いられる。こうした拠点を押さえることが重要だが、容疑者をはじめ事件に関係する人物から押収した携帯電話などの通信ツールを解析し、大麻の供給源とされる暴力団や組織的に犯罪に加わる半グレ集団などの犯罪組織の実態解明を進めるのが狙い。