サッカー・J1のヴィッセル神戸は13日、明治安田生命J1リーグ第25節で北海道コンサドーレ札幌と、アウェイの札幌ドームで対戦する。キックオフ予定は午後2時。
10日の福岡での試合(JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦)を終えてから、中2日という短い間隔でやってくる、敵地、北海道・札幌での試合。酷暑でのタイトな日程が続くなか、ヴィッセルはJ1残留に向けた大事な一戦を迎える。公式戦4連敗中、J1では再び最下位に転落するなど苦境に立たされているが、ここでなんとかトンネルを抜け出し、リーグ戦はもちろん、目前に迫るAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に向けても、勢いを取り戻していきたいところだ。札幌との対戦では、今年のホームゲームでも4-1と大勝するなど最近5試合で5連勝中、今回の会場である札幌ドームでも2連勝中と相性のよさが際立つだけに、そのポジティブ要素もいかしたい。
特に5月29日のJ1第16節のときにひときわ存在感を放ったのが、MF汰木康也選手だ。左からの鋭い突破やセットプレーでの精度の高いキックで3得点に絡み、チームの勝利に大きく貢献した左サイドのアタッカーは、今回の一戦でもキーマンの1人といえるだろう。「目の前の1試合が決勝戦みたいな感じになると思います。できる準備はしてきました。結果がすべてだと思うので、ピッチで全部出せればなと、勝って帰ってこられればなと思います」と気合いを込める背番号16の活躍には当然、大きな期待がかかる。
敗れたセレッソ戦でも序盤に決定的なシュートを放ち、アンドレス・イニエスタ選手とのコンビプレーでも冴えを見せるなど、いまやチームの攻撃に不可欠な存在となっている汰木選手。「自分も含めて、1試合のなかで決定機はたくさん作れていると思いますが、ゴール前の最後の質というのがどうしても結果についてこないシーンが多いと思うので、そういうところが決まってきて、なおかつ、もったいない失点が減ってくれば、またいい状態になれると思います」と、課題を認識しつう前を向くとともに、「先制点が大事。自分が前半からもっと勢いをもって仕掛けていきたい。ゴール前で相手がいやがるような(攻め崩す)プレーがちょっと足りない気がしているので、自分がそういうプレーを出して、勢いを取り戻せるよう、最初からいければ」と、序盤からどんどん仕掛けて、ゴールを狙う覚悟だ。
ただし、「(前回の対戦をふまえて)相手は対策をいろいろ練ってくると思うので、それを跳ね返すくらいの勢いをもって乗り込まなければいけない」と気を引き締める汰木選手は、「(前回の対戦で)もう少し細かいことを振り返ると、その試合ではけっこう危ないシーンがあって、2~3つはディフェンス陣がギリギリで防いでいたシーンもあったと思うので、そういうところを決められて自分たちが決定機をとれないと、相手に勢いが出てきてしまう。(札幌は)ガンガン前プレスをかけてくるので、うまくひっくりかえして(勝つことが)前回はできましたが、あれがハマってきちゃうと本当に厄介なチーム。もちろん前回のいいイメージはもって試合に入りますが、油断せず、絶対に相手の勢いをくらわないよう、みんなでもう一回、共通認識をもって話していきたい」とコメント。前節では湘南ベルマーレに5-1と大勝するなどアグレッシブな戦いを仕掛ける札幌への警戒を強める。
実際に、ヴィッセルは最近の試合で柏レイソル、セレッソ大阪といった上位陣の組織的なハイプレスに苦戦し、ミス絡みのカウンターやセットプレーからの失点が続いた。ルヴァンカップでもアビスパ福岡の外国籍選手の圧力の前に屈している。その同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。「相手の出方、相手によるが、札幌はシンプルにマンツーマンにハイプレスでくる相手。そこをきれいに崩すのはなかなか難しいし、前節のようなミスも出てくる可能性もあるので、そのあたりの戦い方をチームとしてどうするか統一したい」というのは吉田孝行監督。全体での戦い方の共有も、この一戦のテーマになる。
そのなかで、守備面ではブラジル人DFマテウス・トゥーレル選手が加入後すぐに2試合で先発し、Jの舞台やチームに慣れてきて、本領を発揮しつつあるのは頼もしい。「個人的なフィジカルコンディションもあがってきています。仲間との連係、チームのやり方のところも理解は深まってきています。水曜日の試合は望んだ結果ではなかったですが、いいところも当然あったので、いいところを深めて、それを次の試合で多く出せればと思います」と語る背番号15も、競り合いやカバーリング、後方からのビルドアップで大事な役目を担う1人。今回はフル出場での活躍も求められる。