兵庫県立美術館(神戸市中央区)では、1年を2期に分け、特定のテーマに沿って収蔵品を紹介するコレクション展を開催している。今年は、7月30日から12月18日まで行われる「2022年コレクション展Ⅱ」で、「特集1 リ・フレッシャーズ」と題し、令和3(2021)年度、新たに県立美術館にやって来た作品を紹介。また、特集2では具体美術協会を率いた吉原治良の作品や資料も展示する。
昨年度、コレクションに加わったのは、現代絵画や若手作家による映像作品など70点以上。これまでの県立美術館のコレクションには見られなかったような作品たちだ。「美術館に新鮮味を与える」という意味を込めて、特集のタイトルを「リ・フレッシャーズ」とした。「リフレイン」「リフレクト」「リフレッシュ」という3つのキーワードで、作品をお披露目している。
同じモチーフの連続や、絵の具を塗り重ねるなどの「ある行為」を反復することによって完成された作品を集めた「リフレイン」のコーナー。鄭相和(チョン・サンファ)の作品は一見、色だけがそこにあるようだが、よく見ると格子状の模様になっている。
自分の姿や経験など作者のさまざまなものが映し出されている作品は「リフレクト」で紹介する。
兵庫にゆかりのある作家や若手作家の作品のほか、過去に県立美術館で展示されたことのある作品も仲間入りした。
明石市出身の彫刻家・棚田康司の「たちのぼるー少年の場合」と「たちのぼるー少女の場合」。それぞれの作品の少年と少女はロープを持っていて、東北の高校生と明石の高校生が編んだものだという。2本のロープだったが1本につながっている。このコーナーは「リフレッシュ」、未来への眼差しを映し出す。
そして、「没後50年 吉原治良の小宇宙(ミクロコスモス)」では、吉原治良の素描を中心に多くの作品や資料を紹介する。令和2(2020)年度に新たにコレクションに加わったものに従来のコレクションを合わせ、吉原の創作の秘密に迫る。具体美術協会の中心メンバーとしての活動が知られるが、作家としてどのような活動をしてきたのか、年代順に並べられた作品からその足跡をたどることができる。