ひとたび腕時計の魅力を知り、購入すると、次から次へと欲しくなるのは自然なことです。一方で、増え続けるコレクションの中で何を残し、何を手放すか、という葛藤はつきものです。手放す際には人に譲るのか、市場に売却するのかなど、多くの選択肢があります。趣味としての腕時計との付き合い方について、登録者数が6万2千人を超える「腕時計YouTuber」であるRYさんが、『やさしい腕時計』(ラジオ関西Podcast)で解説しました。
◆腕時計を所有しすぎる弊害は? 使用に偏りが出て……
番組に、次のようなメールが届きました。「すでに持っていた腕時計に加え、偶然出会った限定モデルの時計を購入しましたが、最近、使っていません。売却してほかの時計を買うか、希少性もあるので保有し続けるか、迷っています」――。同じような悩みを抱える腕時計愛好家は多いのではないでしょうか。事実、フォーマルシーンからカジュアル、アウトドアの場面まで、全てで使える「万能な」腕時計は存在しません。ですから、RYさんも腕時計は複数本持つことを勧めています。
しかし、所有しすぎるのも考え物です。必ずと言っていいほど使用頻度に差が出て、それは愛着の差につながることが一般的だからです。2022年8月現在で、RYさんは現在6本の高級時計を所有していますが、コレクションの総本数は10本以内までに抑える“マイルール”を設けているそう。そのような工夫をしても、コレクションが増えすぎてしまったとき、考えられる対応は、持ち続けるか、手放すかの2択です。
◆二度と手に入らないかもしれない「限定モデル」 贈り物にはそれ以上ない付加価値が
限定モデルを手放すとき、より慎重になることは想像に難くありません。供給量(販売数)が極めて少ないことが多く、二度と手に入らない可能性があるからです。例えば、ブランドやモデルの「周年」にあわせてリリースされるものや、オリンピックなどの「ある出来事」を記念したモデルがそれにあたります。希少性が高いため、売却時に需要が増している場合、通常モデルよりも高値で取引されます。
限定モデルは、その希少性ばかりが注目されがちですが、「発売年」が記されていることも見逃せません。例えば、2020年に子どもが誕生したとします。同じ年、オメガはオフィシャルタイムキーパーを務める「東京2020オリンピック」を記念したコレクションを発表したので、これを購入します。自分で使用したり、大切に保管し続けたりしたのち、あるタイミングでその子どもに腕時計を譲る――。誰かに受け継ぐことを考えた時、その人の生まれ年の時計という事実は生涯変わることはなく、大きな意味を持ちます。