「竜馬がゆく」など壮大な歴史小説で知られる作家、司馬遼太郎(1923-1996年)のエッセー全集にスポットを当てた企画展「色紙と自筆原稿でみる『司馬遼太郎が考えたこと』」が司馬遼太郎記念館(大阪府東大阪市)で開かれている。各巻の表紙絵に使われた司馬が描いた色紙をはじめ、自筆原稿、撮影した写真など初公開品を含む70点を紹介。その豊かな感性と思索の跡をたどることができる。10月30日まで。
約40年にわたる創作活動の間に書かれたエッセー全集「司馬遼太郎が考えたこと」(新潮文庫、全15巻)には、日々の出来事や旅先での経験、自然、宗教について、そして司馬の歴史観がつづられた約1100編の多彩な随筆が収録されている。
第1巻の表紙は1987年、卯年の元旦に手掛けた色紙で、直立したウサギの絵に「木の実 を積んで 白い 雲 を眺めて」と添え書きされている。同年、「街道をゆく 愛蘭土(アイルランド)紀行」の取材後、自宅でしたためた色紙には“アイルランドの妖精”が登場。第14巻の表紙絵となった。
第3巻収録で、1968年、高知新聞に掲載されたエッセー「三草越え」の自筆原稿は初公開。源義経による一ノ谷の奇襲作戦の経路をたどった経験を書いている。
推敲のやり方の変化も興味深い。初期は万年筆、やがて赤鉛筆が加わり、作家活動後半になると、5色の色鉛筆を使い分けているのが分かる。
そのほか「中央公論」1981年4月号のグラビアに掲載された、司馬が中国を訪れた際に撮影した写真、新聞や雑誌の切り抜き(複製含む)なども展示。
同館では、9月~11月、3回にわたる連続講演会を開催する。3人の作家が講師となり、司馬にまつわること、またそれぞれの専門分野などについて話す。
日程、講師、講演タイトルは以下。
9月24日(土)柳田邦男さん(ノンフィクション作家、司馬遼太郎賞の選考委員)「この国を変える『2.5人称の視点』」
10月15日(土)佐藤賢一さん(直木賞作家、司馬遼太郎賞受賞)「ナポレオンを書く」
11月26日(土)今村翔吾さん(直木賞作家)「私と司馬遼太郎」
聴講券は3回分で7,500円(入館料を含む。単独の聴講券はなし)。先着100人。希望者は電話06-6726-3860またはファクス06-6726-3856(住所、氏名、電話番号を明記)で同館事務局に申し込む。
◆企画展「色紙と自筆原稿でみる『司馬遼太郎が考えたこと』」
会場:司馬遼太郎記念館(〒577-0803大阪府東大阪市下小阪3丁目11-18)
会期:2022年5月17日(火)~10月30日(日)
開館時間:10時~17時(入館は16時半まで)
休館日:月曜(祝日、振替休日の場合はその翌日)、9月10日(土)は資料整理期間のため休館
入館料:大人500円、中高生300円、小学生200円
問い合わせ:同館電話06-6726-3860またはファクス06-6726-3856





