人気のロールケーキ「小山ロール」で知られる洋菓子店「パティシエ エス コヤマ」(兵庫県三田市)に勤める30代の男性パティシエ(菓子製造職人)が、 違法な長時間労働をさせられ、残業代などが支払われていないとして、運営会社に慰謝料と未払い賃金など計約3100万円を求めて神戸地裁に提訴したことがわかった。 提訴は6月22日付。
訴状によると、男性は2003年に入社後、週休1日で日常的に午前5時から深夜まで勤務し、残業代を含む月給は手取り20万円程度しか支払われなかったという。こうしたことから男性は2021年6月以降、過去の分も含めた残業代を求めたが、運営会社側は応じなかったとしている。
伊丹労働基準監督署(兵庫県伊丹市)は2021年、この男性の時間外労働時間が最長で月342時間だったと認定。男性はうつ病と診断されて一時休職し、現在は復職しているが通院治療を続けているという。
「パティシエ エス コヤマ」 をめぐっては2021年1~2月、菓子の製造を担当する社員11人に労働基準法第36条に基づく協定(三六協定)を超える長時間の時間外労働をさせたとして、同社と当時の管理職2人が2021年11月、伊丹労働基準監督署に書類送検されたが、神戸地検は2022年7月、起訴猶予処分とした。
提訴を受け「パティシエ エス コヤマ」 の代理人弁護士は「現時点でお答えすることはありません」とコメントしている。