サッカー・J1のヴィッセル神戸は、2022明治安田生命J1リーグでここまで25試合を終えて6勝6分け13敗、勝点24で、18チーム中、暫定17位と苦戦中。J1残留圏内の15位以上を達成するためにも、残り9試合では1つでも多くの勝利と勝点が求められる。そのなかで、ホームでの3試合を含む、リーグ戦4試合が行われる9月は、神戸にとって、まさに勝負の1か月。その9月初戦となるJ1第28節では、同じくJ1残留争い中のライバル、京都サンガF.C.(暫定15位、勝点26)と、アウェイのサンガスタジアム by KYOCERAで対戦する。キックオフ予定は午後7時。
ヴィッセルにとって、8月13日の北海道コンサドーレ札幌戦以来、約3週間ぶりとなるJ1リーグ戦を迎える。その間に行われたACL(AFCチャンピオンズリーグ)では、ラウンド16で同じJ1の横浜F・マリノスに3-2と勝利したものの、準々決勝では韓国の全北現代モータースに延長戦の末に1-3と敗れ、アジアナンバー1の夢は断たれた。全北現代戦を欠場したMFアンドレス・イニエスタ選手とFW大迫勇也選手は、しばらくの戦線離脱を強いられる見込みで、ヴィッセルにとってはJ1での戦いも依然として厳しい状況が続きそうだ。
そのなかで臨む、京都との関西ダービー。「我々にとっては非常に大事な一戦と理解しています。勝点3を取れるように頑張りたい」と力を込めるのは、吉田孝行監督。全北現代戦ではタイトな日程などの要素もあり、大幅なメンバー変更を行っていたが、十分な準備期間があった今回、イニエスタ選手や大迫選手が不在とはいえ、京都に立ち向かう策をどのように打ち出すかは見どころの1つ。「(準備期間では)オプションを増やしたかったというのと、試合に出る選手によって多少、我々の特長も変わってくるので、いる選手の特長をより出すことを意識してやりました」というなか、どんなメンバーをそろえるのか、注目だ。ACLでゴールを決めたMF飯野七聖選手やFW小田裕太郎選手といった活きのいい選手たちや、今夏加入ながらすでに守備の要となっているDFマテウス・トゥーレル選手らが軸となることが予想されるなか、曺貴裁監督率いる京都に挑む。
前回の対戦では、ホームで1-3と敗北。当時、三浦淳寛氏の監督契約解除を受けて、ヤングプレイヤーデベロップメントコーチのリュイス・プラナグマ氏が暫定監督となって指揮をとった一戦では、攻撃的MFとして右サイドで起用されたDF初瀬亮選手のJ1初ゴールで後半開始直後に先制するも、すぐさま同点、逆転弾を許し、終了間際にもダメ押しのゴールを奪われ、苦い敗戦を喫した。
そこから2度の監督交代を行うなど、もがき苦しむヴィッセルだが、「前回の対戦をしたときとは、監督も変わり、新しく加入した選手もいたり、僕らも違うチームになっているというか、いい意味で変わっていると思う」と前を向くのは、今シーズンのJ1でここまで24試合に出場(22試合で先発)している若き生え抜きDFリーダー、小林友希選手。京都戦については、「ACLの横浜F・マリノス戦で見せたようなサッカーができれば、勝ちは近付くと思います。まずは自分たちのやるべきことをしっかりとやれればなと思います」と気合いを込める。
ACLラウンド16の時点ではJ1で首位にたっていた横浜FMを相手に勝ち切った試合は、「僕らにとって大きかったというか、自信になった試合」だったと小林選手。「最初から出た選手も、途中から入ってきた選手も、全員がハードワークして、もちろん技術や戦術の部分もありますが、球際だったりセカンドボール(を拾う)というところで相手に負けなかった、上回れたことが、勝ち切ることができた1つの要因」と、ヴィッセルがいま志向するサッカーを体現できたと語る。試合前日のオンライン会見では、「もちろん、技術・戦術は大事ですが、それ以上に球際や1対1のところで負けないことが、これからのリーグ戦でも重要になってくるので、それを明日の試合でも見せたい」と意気込みをコメント。クリムゾンレッドの3番をはじめ、ピッチに立ったイレブンが横浜FM戦のようなパフォーマンスを発揮できるかは、この試合のキーポイントになるだろう。
また、J1第25節の札幌戦での勝利に貢献しただけでなく、ACLの2試合でも好パフォーマンスを見せたGK前川黛也選手も、アジアでの一発勝負の戦いを経て、成長を遂げた1人だ。京都戦でもその活躍が期待される背番号1は、「今まではスタメン争いとかで何が足りないかというところに目を向けてプレーすることが多かったのですが、今は自分の何が武器か、どれだけチームに貢献できるかにフォーカスして試合に臨めている」と、精神的にもたくましさを増した。そして、「自分自身の足りないところやまだまだなところもあるかもしれませんが、それよりも自分のよさをもっともっと出して、チームに貢献して、勝点が必要なので、そこに貢献できるように試合に臨みたい」と、こちらも気合い十分だ。
京都戦では、「GKとして無失点で抑えることが一番の仕事。ただ、前からくる相手は、リスクをおかして守備も前から来ていると思いますし、そこに対して自分たちの狙うところは自ずと(相手が)前からくるところなので、いろいろとそこから打開できる策というのを、この1週間、チームで練習してきました。そこをうまく京都相手に出せればと思います」と、前川選手。守備の安定をもたらすためにも、後方からのビルドアップはチームにとって重要なタスク。相手の連動したハイプレスをかいくぐるべく対策を立ててきたというだけに、その準備をいかして京都を崩していきたいところだ。