『レコード』の醍醐味はコレクション 疑似ステレオ盤まで登場するディープな世界 中古店を巡る楽しみも | ラジトピ ラジオ関西トピックス

『レコード』の醍醐味はコレクション 疑似ステレオ盤まで登場するディープな世界 中古店を巡る楽しみも

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 中古レコードの醍醐味といえば、コレクションだろう。手始めとしては、好きな歌手のCD化されていないアルバムやシングルを集めるというものがある。アルバムとシングルでバージョンが違ったり、アルバムに収録されていなかったりする楽曲はよくある。しかし、オリジナルにこだわるなら、CD化されていてもすべてをレコードで集めなければならない。

 邦楽ならそれでいいのだが、洋楽となってくるとそうはいかない。オリジナル盤(輸入盤)と日本盤があるからだ。本来なら、洋楽歌手はオリジナル盤だけで十分かもしれないが、当時は、日本独自のジャケットもあればライナーノーツもある。となると、両方ほしくなるのが人情というもの。集めやすさからいえば日本盤だが、帯の有無にもこだわるようになる。そうして深みにハマっていくのだ。

 しかし、これで済まないのがレコードのディープなところ。1950年代末から60年代のアルバムだと、モノラル盤とステレオ盤の2種類が同時発売されているのだ。つまり、洋楽ならオリジナル盤だけで十分と言いつつ、年代によっては2倍集めなくてはならない。さらに日本盤も加わると、4倍ということだ。筆者は、オリジナル盤・日本盤にこだわらず音源優先で、主にエルヴィス・プレスリーを集めているのだが、それでもアルバムの枚数が多いので大変である。

エルヴィス・プレスリーの同じアルバムのモノラル盤とステレオ盤

 ところが、ここに疑似ステレオ盤までもが加わってくる。50年代のアルバムは、モノラル盤のみ。これを各レコード会社がそれぞれの手法でステレオ風にし、60年代から70年代に発売したのが疑似ステレオ盤だ。たとえば、左右のチャンネルを微妙にずらしたり、リバーブをかけたりしている。ほぼCD化はされないので、一番の珍盤かもしれない。これまで集めるとなると、1枚のアルバムにつき3枚、日本盤を含めると6枚ということになるわけだ。

エルヴィス・プレスリーの疑似ステレオ盤アルバム

 今の時代、中古レコード収集は、検索が便利なネットでの購入が多いと思う。しかし、くわしい写真が載っていなかったり、ジャケットの文字が小さくて見えにくかったりすると、モノラル盤かステレオ盤か疑似ステレオ盤かを判断するのは難しい。ジャケット表面に表記が無い場合、レコードの品番を見なければわからないからだ。そうなると、中古レコード店を巡ることになる。昭和レトロなレコードを集めるのなら、ぜひ足で探してもらいたい。時には掘り出し物にも出会うし、手に取って見つける楽しみもあるからだ。

 若い人たちもレコード・コレクターへと進むことで、一過性のブームに終わらせないでほしいものである。

(文=ラジオディレクター・佐々木孝昌)※写真はすべて筆者提供

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洋楽ではエルビス・プレスリーやマイケル・ジャクソンらの名盤が並ぶほか、邦楽からは、フォークソングから、近年海外でも話題のシティーポップ、アイドルシンガー、アニメソングまで多彩なジャンルがそろう。

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