人を乗せて空を移動する「空飛ぶクルマ」の開発を手がけるベンチャー企業、スカイドライブ(愛知県豊田市)は26日、2025年大阪・関西万博での会場輸送で導入を目指す新型機「SD―05」のデザインを発表した。2024年度からの試験飛行を予定している。
万博開催時は大阪ベイエリアで短距離輸送を担う「エアタクシー」としての活用を目指す。スカイドライブの福沢知浩・最高経営責任者(CEO)は「既存の公共交通機関と異なり、点から点に数分で“ひとっ飛び”できる。車や自転車のように気軽な乗り物にしたい」と抱負を語った。
これまでは1人乗りだった「空飛ぶクルマ」。新型機「SD―05」は、乗客とパイロットの2人乗りで、白をベースに、鳥や動物のストリームライン(流線形)を研究して設計した。1,000回以上の飛行テストを経て、安定した飛行が実現できるという。
機体のサイズは全長9.4メートル、高さ2.7メートル。電動で、12基のモーターとプロペラで駆動する。最大航続距離は約10キロ、最高巡航速度は時速100キロ、飛行時間は5~10分を見込む。1回当たりの充電時間は30分未満を目指す。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や海遊館などが位置する大阪ベイエリアは、施設から施設までの直線距離は1キロ程度だが、海を隔てるため、公共交通機関を使うと40分もかかるケースがある。こうした中、空飛ぶクルマの場合は最短飛行時間約5分と、効率的にショートカットできるようになる。
また、従来のヘリコプターよりもコンパクトで軽く、静音性が高い(騒音はヘリコプターの3分の1程度)ため、狭い場所やビルの屋上など、より多くの場所に離着陸が可能で、医療従事者が一刻も早く現場に駆けつける手段としても期待できるという。
新型機「SD―05」の価格は1億円程度を想定している。
「空飛ぶクルマ」については明確な定義はないが、「電動」「自動操縦」「垂直離着陸」が1つのイメージで、新たな移動手段として世界各国で機体の開発が進む。日本では 2018 年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、経済産業省と国土交通省によって、2030年代での本格的な普及に向けたロードマップが制定されている。