先日「なにか捕まえられへんかなあ」と思い、ため池の中でタモ網を振り回していたところ、水生昆虫の「コオイムシ」が網の中に入ってきました。コオイムシとは、読んで字のごとく、子(卵)を背中におんぶして背負いながら育てる昆虫のこと。
しかも、卵を背負っているのはぜんぶオスなのだそう! 繁殖期になると、メスが好みのオスを見つけ出し、オスの背中に卵を産みつけるんです。これってすごくないですか!?
どういった基準で夫を選ぶのかは分かりませんが、子どもを託すんですからねえ。「この方なら大切に育ててくれる」という絶大なる信頼を寄せていないと、背中に卵なんて産めませんよね! つまり、これはもう究極の愛の立ち会い出産なわけです。
卵を託され背負いはじめたその日から、コオイムシのオスは親として子どもを守りながらの生活が始まるのです。実は、コオイムシは普段、水面から出て飛ぶこともある昆虫なのですが、背中に背負っている子どもが育つまでは飛ばないのだそう。子どもにとってオスの背中はベビーベッドみたいなもんですから、「安心してスヤスヤ眠れるように……」ってことですかね!?
そうやってオスのコオイムシは背中に気を配りながら、子どもにつきっきりで水中での生活を孤独に送るのです。
しかし、水中にも敵がいます。背中の卵が襲われてはいけないので、危険を察知したらものすごいスピードで泳ぎ、逃げまくります! 闘いなんて決して挑みません。子どもを守るため、逃げまくります! 逃げるが勝ちです!