2022年のノーベル賞・文学賞をスウェーデン・アカデミーが発表し、有力候補とされた作家の村上春樹(73)の受賞はなりませんでした。
村上さんは1949年に京都市で生まれ、西宮市と芦屋市で育ちました。兵庫県立神戸高校、早稲田大学を卒業し、1979年、神戸を舞台にした「風の歌を聴け」でデビュー、「ノルウェイの森」など、これまでの作品は50カ国語以上に翻訳されています。2006年にフランツ・カフカ賞を受賞して以降、毎年、ノーベル文学賞の有力候補に挙げられています。
村上さんのエッセイ「辺境・近境」で描かれた、オープンから60周年の老舗イタリアンレストラン「ピノッキオ」(神戸市中央区)には6日夜、「ハルキスト」と呼ばれる村上さんのファンら15人が集まり、ピザやビールを楽しみながら結果発表を待ちました。受賞を逃したことが分かると「あ~」とため息が漏れ、続いて「また来年に期待しよう」と声が上がり、全員で「残念会」と称してシャンパンで乾杯しました。
21年は新型コロナウイルスの影響で中止となった、この恒例イベントは、今年で10年目を迎えました。オーナーシェフの山中崇裕さん(67)は、「ここまできたら、受賞するまでイベントを続けたい」と話し、ファンの女性(45)は、「ファン歴は28年ほどになります。高校生の頃からいつかとれるといいなと思って待ちわびてきたので、とても残念です。村上春樹さんの作品は、現実とパラレルワールドをさらっと書くというか、“ファンタジー”なところが素敵です。私が死ぬまでには賞をとってほしいと思います」と、来年以降に期待しました。
神戸高校の卒業生でつくる同窓会は、「村上春樹さんの受賞がならなかったことは大変残念。作品の素晴らしさがそれによって左右されるものではなく、同窓生としてこれからも村上さんの作品を愛し、応援し続けます」と報道各社へコメントを寄せました。また、神戸高校の西田利也・校長は、「本校の卒業生である村上春樹さんの存在は、生徒たちの誇りです。デビュー以来、長年、素晴らしい作品を発表し続けていらっしゃいますので、来年こそはと期待しています」とコメントしました。