兵庫県、とくに神戸市の小中学生にはおなじみの「のびのびパスポート」をご存知でしょうか? すでに高校生以上でも、平成生まれの人なら一度は使ったことがあるかもしれません。パスポートを提示すれば、美術館や博物館などで小中学生は入館料が無料になるという、素晴らしい制度なんです!
この制度のなりたちや概要について、「神戸市教育委員会」(所在地:神戸市中央区)に詳しく話を聞いてみました。
「のびのびパスポートは、平成2年(1990年)、当時の神戸市長だった笹山幸俊氏による『のびのびとした教育のまちづくり』という方針のもとはじまりました」(神戸市教育委員会)
「21世紀へ向け、よりよい神戸のまちを築き上げるためには、次代を担う子供たちが“人間味豊かで明るくすこやかに育つ”ことが重要」と提唱していた笹山氏。美術館や博物館などを通して、さまざまな文化や芸術、自然と触れあうことで、子どもたちに「思考力・想像力・創造力」をはぐくんでほしいと願っていたそうです。
導入当初は「神戸市内の小学生限定」かつ「休校日利用限定」の制度だったそうですが、1992年には神戸市の隣接市町にまで拡大。1999年には徳島県にまで範囲が広がりました。
「対象年齢も中学生まで引き上げとなり、対象施設も拡大するなど利用範囲はどんどん広がっています」(神戸市教育委員会)
そもそもどのように入手すればいいのでしょうか?
「神戸市の場合、市内公立・私立の小・中学校および外国人学校に通学している場合は学校で配布します。それ以外の、例えば神戸市内在住で尼崎市や大阪市などの小中学校や、フリースクールなどに通学している場合は、居住区の区役所・支所で受け取ることができます」(神戸市教育委員会)
利用できるエリアは、兵庫県(神戸市・芦屋市・西宮市・宝塚市・三田市・三木市・明石市・稲美町・淡路市・洲本市・南あわじ市・丹波篠山市)、徳島県(鳴門市・徳島市)。
「最近では大阪府(堺市・岸和田市・泉佐野市・田尻町)、和歌山県(紀の川市・海南市)も対象地域に仲間入りしました」(神戸市教育委員会)
神戸市教育委員会によると、パスポート適用対象施設は「原則として、制度趣旨に則った教育関連施設が対象」とのこと。『六甲山牧場』や『岸和田城』、『アシックススポーツミュージアム』など、じつに幅広いジャンルの施設がラインナップしています。
地域づくりの未来を考えスタートした「のびのびパスポート」。これにより、子どもたちがさまざまなカルチャーや学びを体験できる機会がいっそう増えていくといいですね!
(取材・文=つちだ四郎)