小中学校でおこなわれる行事のひとつ「宿泊体験活動」。自然豊かな環境でクラスメートたちと協力してご飯を作ったり、登山やキャンプファイヤーなどのアクティビティを楽しんだり……。
いくつもある学校行事の中、泊りがけという“非日常感”が特に印象的だったという人も多いのでは?
宿泊体験活動は、「林間学校」や「自然教室」など地域によって名称が異なりますが、兵庫県では「自然学校」で知られています。
兵庫県内の公立小学校と義務教育学校(前期課程)などに通う5年生の児童が対象で、但馬・播磨地域、淡路島など、山や海に面したエリアにある体験活動実施施設や民宿でおこなわれます。
自然学校を推進している「兵庫県教育委員会事務局」(所在地:神戸市中央区)によると、一般的な宿泊体験活動に比べると、大きく違うポイントがあるんだとか。
「他の地域の『自然教室』や『林間学校』は1泊2日や2泊3日で実施されていることが多いですが、自然学校の場合は4泊5日以上となっています。長期宿泊だからこそ児童の主体性をはぐくみ、感動体験を生み出すことを狙いとしています」(兵庫県教育委員会事務局)
教師が同行するとはいえ、ほぼ子どもたちだけで4泊5日とはなかなかの長期間です。なんと、平成20年(2008年)までは5泊6日だったというから驚き!
自然学校は、昭和62年(1987年)におこなわれた「こころ豊かな人づくり懇話会」内で提言され、翌年から実施されるように。
当時は全国的に核家族化が進んでいたこともあり、子どものコミュニケーション能力低下が問題視されていました。さらに、昆虫など生き物と触れる機会も減っていたことで「自然とのふれあいは青少年の人間形成の大きな意義があるのでは」という考えのもと、兵庫県の自然にどっぷりと浸かる自然学校が実施されるようになったのです。
その中でおこなわれるカリキュラムは学校ごとに異なりますが「登山」や「野外炊事」という定番のアクティビティから、「ナイトハイク」や「星空観察」、「隠れ家づくり」などワクワク感たっぷりの活動も。
昭和62年、113校で先行実施された自然学校も平成3年度には全校立小学校で実施。そして、平成29年には30年目をむかえました。そのタイミングでおこなわれたアンケートでは、回答した5111人の保護者のうち半数が「自然学校を経験している」という結果が出ており、兵庫県民に浸透している行事ということが分かります。