秋は春とならび「引っ越し」が多くなる季節といわれる。転勤や結婚などで新生活をスタートさせる人の割合が多くなるためだ。「引っ越し」はワクワクする反面、手続きや作業にかかる時間や手間がかかる。国内での引っ越しでもそうなのだから、これが「海外への引っ越し」となるとさらに大変そう……。
海外への引っ越しはどのような点が国内と違うのか、海外専門の引越業者『株式会社クラウンムービングサービス』(神戸市東灘区)代表取締役、小林弘之さんに話を聞いた。
もともと引っ越し業界でアルバイトをしていたという小林さん。現場の梱包作業やトラックの運転など、さまざまな経験を経て、2010年に会社を設立した。小林さんの会社のように“海外専門”をうたう引越業者は国内では少数。そのほとんどは、港町である神戸と横浜にオフィスをかまえているそうだ。
同社が扱う案件で多い引っ越し先はアメリカや中国、東南アジア各国とヨーロッパ。
「海外転勤などの場合、滞在先に送ることができる荷物の規定量を、お勤め先の企業が決めているところが多いんです。なので、海外での暮らしが決まった方は、いったい何を持って行けばいいのか分からず困っている方が多いですね。当社の場合、まずは営業コーディネーターがご自宅を訪問し、一般的な荷物量をお伝えしたうえで、ご自身が海外に持ち出す適正量をご提案します。また、税関で没収されるなど『楽しみにしていたものが届かない』といったリスクを極力軽減できるように、食料品等“持って行けないもの”についてもしっかりお伝えしています」(小林さん)
場所にもよるが、海外への引っ越しで荷物を送るのにかかる期間は、航空便で1週間〜10日、船便では1か月〜1か月半ほどかかると小林さんはいう。
「引っ越し先がヨーロッパだと、2か月〜3か月かかることもあります。とくに最近は新型コロナウイルスの影響により航空便・船便の本数が少なくなっているため、荷物到着までに半年ほどかかることもありますね……」(小林さん)
「日本人→海外」よりも「外国人→日本」の引っ越し場合の方が荷物が多い傾向があるそう。
「荷物量が40フィート(約12メートル)のコンテナ2本分になる方もいらっしゃいます」(小林さん)
その理由として、特にヨーロッパ人は地元で生活していたスタイルを日本でも再現することを好む傾向があるとのことだ。
「ヨーロッパの家具や調度品などは、本物のアンティークだったり高級なものも多いので、荷物として扱う側もしっかりと知識を身につけておく必要があります」(小林さん)
大手企業で海外引っ越しサービスを展開しているところもある。大手ならではの知名度・ブランド力などメリットは多々あるいっぽう、「利用者に対してのサービス内容の均一化」を小林さんは指摘する。
「あたりまえですが、人それぞれに生活様式が違います。ゆえに、サービスに対するニーズはさまざまです。当社では、お客さま一人ひとりの状況やスタイルによりそうことのできる引っ越しのご提案にこだわっています」(小林さん)
海外では年度始まりが9月の国が多く、夏に近づくにつれ取り扱う案件も増加するという。
最後に、海外への引っ越しを上手にこなす秘訣を聞いた。
「海外赴任が決まったらすぐに行動することがポイントです。じっくり時間をかけてプランを練ることができるので気持ち的に安心して事を運べますよ!」(小林さん)
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2022年10月18日放送回より