神戸・新開地の映画館「パルシネマしんこうえん」初となる映画祭が11月3日から16日まで開催される。
『映画のまち・神戸』で、貴重な名画座として市民に親しまれる、パルシネマしんこうえん。多くの映画のロケ地として選ばれており、神戸・新開地に残る風情ある映画館だ。2021年1月1日に50周年を迎えた、今では貴重な2本立て映画館だが、コロナ禍で苦境が続き、最近まで記念イベントも行えなかったという。それでも、同館は、10年後、20年後も映画館のある街を楽しんでもらおうと、このたび「パルシネマ映画祭」を企画した。
初日となる3日(木・祝)のオープニング上映は午前10時から。「ようこそ!ピアノ劇場」と題して、ピアノ演奏で描く100年前の喜劇映画を取り上げる。作品は、チャップリンと並んで人気を博し「ロイド眼鏡」とよばれた眼鏡をかけたコメディアン、ハロルド・ロイド主演の1926年のサイレント喜劇映画『福の神』(プライベート版)。迫力あるカーチェイスがみどころのラブコメディーを、ピアニスト・天宮遥さんのライブ感あふれるピアノ伴奏で上映する。この回では、子どもにもサイレント映画やピアノ伴奏を楽しんでもらおうと、同伴の子ども1人の入場が無料となる(料金は一般1500円、学生1000円)。
また、同じ3日の正午から行われるのは、パルシネマしんこうえん新旧支配人によるトークイベント「パルシネマの歴史と未来について」(料金は投げ銭)。同館の人気支配人親子が揃って登壇し、50年間にわたる上映作品や歴史を紹介するとともに、質問にも応えていくという。
「パルシネマ映画祭」では、同館で過去50年の間に上映された名作がならぶ。ミニシアターブームの火付け役となった人気作品『アメリ』(2001)や、『バグダッド・カフェ(ニューディレクターズカット版)』(2008)のほか、スタジオジブリ作品・宮崎駿監督の『紅の豚』(1992)は30年ぶりにパルシネマのスクリーンに登場する。
さらに、フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督が手掛けた『浮き雲』(1996)や『過去のない男』(2002)、『街のあかり』(2006)の3作品や、演出家・三谷幸喜の映画監督デビュー作『ラヂオの時間』(1997)は、いずれも35mmフィルムで上映される。
兵庫県出身のイラストレーター・朝野ペコさんがポスターを描いた「パルシネマ映画祭」。料金は2本立て一般1300円ほか。同映画祭のタイムテーブルなど詳細は、パルシネマしんこうえん公式サイトに掲載されている。