特定抗争指定暴力団「六代目山口組」と「神戸山口組」の対立抗争が続く中、それぞれが拠点を置いていた神戸市で暴力団追放大会が11月2日、開かれた。今年(2022年)は、暴力団対策法が1992(平成4)年3月に施行されて30年が経つ。
警察庁によると、2021年末時点で、全国の暴力団構成員と準構成員は計2万4100人となり、過去最少を更新した(構成員1万2300人・準構成員1万1900人)。暴力団対策法施行当時の9万1000人に比べると、3分の1以下まで減少している。
このうち六代目山口組から分裂した神戸山口組、そこからさらに離脱した絆會がそれぞれ本拠地としている兵庫では、構成員と準構成員は合わせて690人で、前年から80人減となった(暴力団対策法施行当時は約3500人)。
新型コロナウイルス感染拡大のため、2020、21年は関係者のみで行われていたが、今年(2022年)は3年ぶりに県内企業の代表者なども参加した。
2015(平成27)年8月の六代目山口組分裂以来、これら『2つの山口組』の対立による拳銃発砲や関係先への車両突入などの抗争事件は後を絶たない。2019年には抗争が激化し、それぞれが特定抗争指定暴力団に指定される契機となり、現在は組事務所など関連施設への立ち入りが禁止されている。
大会では特に企業の担当者に向け、暴力団のいない安全で平穏な兵庫県の実現を目指し、「暴力団を利用しない、暴力団を恐れない、暴力団に金を出さない、暴力団と交際しない」と訴える「大会宣言」を満場一致で採択した。
この日は、2022年度の兵庫県・暴力団追放モデル標語に「暴力団 入って失う 自由と未来」という作品を応募し、最優秀賞に選ばれた兵庫県内企業勤務の女性のほか、暴力団排除に積極的に取り組んだ自治体として、尼崎市と淡路市に公益財団法人・暴力団追放兵庫県民センターから表彰状が贈られた。
尼崎市では特定抗争指定暴力団「六代目山口組」の傘下組織が、2022年9月に事務所を閉鎖し、市内の暴力団事務所がゼロになった。この組織は自主的に閉鎖し、複数あった暴力団事務所の排除を完了した自治体では全国初という。
淡路市は2022年1月、特定抗争指定暴力団「神戸山口組」の拠点として使われていた直系団体「俠友会」の事務所を買収し、市内の事務所はなくなった。
暴力団排除に携わる弁護士によると、自治体での暴力団事務所の全面排除は全国的に珍しく、市民・行政・警察が一体となったモデルケースとなり得るという。