国際日本文化研究センター(京都市)の研究者が全国各地にある妖怪の絵画資料を集めた「怪異・妖怪画像データベース」をご存知でしょうか? 検索できる絵画資料の数は、2022年8月時点でなんと4317件! 国内外の大学、博物館、美術館が所蔵する絵巻物などが対象となっています。
データベースは2010年ごろから公開されているものの、SNSなどのインターネット上で妖怪を取り扱った創作活動を行う人々から「知らなかったけどこれは便利」「アイデアがどんどん湧いてはかどる!」と、再び注目を集めています。
独特の検索ページも話題。「鬼」「閻魔(えんま)」といった怪異・妖怪の名前から調べられるのはもちろん、「しぐさ」「もちもの」などの特徴から調べることも可能。もちものカテゴリのなかには「人間」もあり、知識がなくともおもしろい妖怪を見つけることができるのです。
便利で興味深い「怪異・妖怪画像データベース」。作成に携わった国際日本文化センターの山田さんに、誕生秘話をはじめ、さまざまな話を聞きました。
――「怪異・妖怪画像データベース」を作成したきっかけは?
【山田さん】 2002年に公開した「怪異・妖怪伝承データベース」が先にありました。そちらは民俗伝承や近世の随筆から怪異・妖怪の書誌を集めた文字だけのデータベースでしたが、画像を集めたものがほしいという声が高まったことから作成するに至りました。
どちらのデータベースも、当センターの前所長である小松和彦が音頭をとって作られたもので、データ収集というたいへんな作業は当時の若手研究者や大学院生らによって行われました。
個人的には、研究だけでなく各種創作の源泉として活用してほしい想いがあって、怪異・妖怪の画像をさまざまな角度から検索できるものにしました。
――どのように活用すればいいでしょうか。
【山田さん】 怪異・妖怪に関する出版物、テレビ番組、広告、妖怪展グッズのデザインなど幅広くご利用いただいています。デザイナーの方々も、参考資料としてよく利用されていると噂に聞いています。