世界文化遺産・仁和寺(京都市右京区・真言宗御室派総本山)の国宝・本堂で「紺紙金泥曼荼羅(こんし・きんでいまんだら)」が特別公開されている。12月4日(日)まで。
仁和寺は1994年に世界文化遺産に登録された。国宝金堂は、寛永年間(1624年~1644年)に京都御所内裏の正殿「紫宸殿」(ししんでん)を移築したもの。その際、屋根を檜皮から本瓦葺きにし、内部は仏堂としての機能を果たすため、新たに板扉を設け、内陣と外陣とに分けた。そして、紫宸殿時代の天皇の玉座「高御座(たかみくら)」が置かれていた場所に本尊・阿弥陀如来を安置している。通常は非公開。
仁和寺には国宝12点、重要文化財47件、その他の宝物など2万点以上が保有されている。2012年ごろからデジタルデータの有効性に着目、文化財の正確な記録のため、一部でデジタル化を進めている。
■奉納から30年、輝きは平成から令和へ
今回、特別公開されている「紺紙金泥曼荼羅」は、1992(平成4)年に仁和寺に奉納された。曼荼羅とは、サンスクリット語の「輪」が語源で、密教の悟りの境地である宇宙の真理を、「金剛界」と「胎蔵界」というふたつの世界で説き、仏や菩薩を配列した絵などで視覚化したもの。これらを合わせて「両部(両界)曼荼羅」と呼ぶ。
軸の大きさは幅193センチ、高さ336センチ。本尊・阿弥陀如来の両脇に広がる黄金の世界は美しい。
長野県から訪れた20代の女性は、初めて友人と仁和寺に訪れた。初めて曼荼羅を目にして、「うっすらと光が差す金堂の荘厳な雰囲気の中に、繊細な黄金の模様が輝いている。こうした神秘的な世界があったのかと驚いた」と話した。