サッカー・J1のヴィッセル神戸は、5日、今シーズンの最終戦となる明治安田生命J1リーグ第34節で、優勝に王手をかけている首位の横浜F・マリノスと対戦する。会場はホームのノエビアスタジアム神戸、キックオフ予定は午後2時。
本来ならば優勝争いを繰り広げていたかった今年のヴィッセルだが、現在の順位は12位。J1残留はなんとか決めたものの、天皇杯・ACL(AFCチャンピオンズリーグ)・Jリーグルヴァンカップがすべてベスト8に終わるなど、目標としていたタイトル獲得を1つもかなえられず。それでも、リーグ戦では、前節こそ川崎フロンターレに惜敗して連勝は5で止まるも、後半戦は横浜FM、川崎Fに次ぐトップ3の数字(後半16試合で勝点29)を残し、チーム力の高さを証明しているだけに、今回の試合で勝って、2022年シーズンの集大成を飾りたい。「ホームで、今シーズン最終戦ということで勝点3をとって終わりたい。今シーズンはクラブとして本当に苦しいシーズンでしたが、そんななかでもサポーターの方も一緒にずっと戦ってくれた。最後は勝って、勝点3をとって、みんなと喜びを分かち合って終わりたい」(吉田孝行監督)。
その締めくくりの相手は、優勝目前の横浜FM。勝点65、67得点、34失点という数字が示す通り、攻撃力と守備力の高さ、勝負強さを発揮してJ1をリードしてきた強者だ。
それでも、今シーズン、ヴィッセルは横浜FMに一度、勝利している。8月に行われたACLのラウンド16、一発勝負の決勝トーナメントで、MF飯野七聖選手、MF佐々木大樹選手、FW小田裕太郎選手のゴールで、3-2とトリコロールを下した。
リーグ戦とトーナメントの戦いは別物であり、横浜FMは前回のリベンジを果たすべく相当な覚悟をもってこの一戦に挑んでくることは容易に想像がつく。それでも、「ホームで(優勝の)シャーレを掲げられるのは個人的にはあまりよろしくないシチュエーションだと思うので全力でそれを阻止したいというのと同時に、やっぱり勝って終わりたいっていう気持ちがすごく強い」というのは、チームリーダーの1人、DF酒井高徳選手。「監督交代で吉田さんになってから、守備のところでも攻撃のところでも、チームが同じ意思疎通を持ちながらプレーすることが90分通してできるようになってきた結果、(後半戦での9勝など)勝利につながったと思っている。僕たちがACLで勝った理由もそう。チームとしてやるべきことをやって、しっかり歯車を合わせることがハマった時に、あれぐらいの(強い)パワーを発揮できるということを実感した試合だった。そのいいイメージというのは、僕らはもちろん持っていきたい」と気合いを込める。
攻撃力の高さの源となるハイライン、ハイプレスが特長の横浜FM。一瞬のスキを的確についてくることは、ヴィッセルもACLのときや、3月の対戦(J1第10節、0-2)で身をもって体感している。ただし、「引きたくはない」「まずはアグレッシブに行きたいというか、ホームだし、(ACLのときと)同じような強度でボールを取りに行きたいし、攻撃もしたいということを心がけてやりたい」と、酒井選手。経験豊富な24番はチームを代表して、この一戦への意気込みを述べていた。
1日に発表された「FIFAワールドカップカタール2022」の日本代表(SAMURAI BLUE)メンバーにはヴィッセルからも横浜FMからも選出はなかったものの、両チームにはその大舞台に立ってもおかしくないようなタレントが数多揃っている。そのなかで、特に注目は、FW大迫勇也選手。これまで代表を支えてきたストライカーであり、メンバー入りが確実視されてきたなか、まさかの落選……そのショックの大きさは想像に難くない。
その話題について前日会見で質問が及んだとき、代表でもチームでも彼をよく知る酒井選手は、「僕は特に、大迫には何も言っていないし、言う必要もないし。普段と同じように変わらず接しているし、本人もそのように過ごしている」と述べつつ、「でも、ワールドカップのメンバーに入る入らないということを関係なしに、僕は本当にこのメンバー発表まで、大迫がどういうシチュエーションでこのシーズンを過ごしてきたかというのを、そばで、チームの一員として見ていた中で、本当にリスペクトしかない」とクリムゾンレッドの10番に最大限の賛辞を贈る。「今回その選考というのもあったし、それ以前でも、この数試合のサコ(大迫)の活躍だったり、けがで苦しんでいた時期のサコを見て、全体のシーズンを見た中で、本当にリスペクトできる存在だなと改めて感じた」。