以前、オスが卵を背負っている虫「コオイムシ」の話をしましたが、今回は“なにか”を背負っている虫シリーズ第2弾として「オンブバッタ」をご紹介します!
オンブバッタとは、1匹のバッタの上にさらに小さなバッタが乗っている姿が、まるでおんぶをして行動しているかのように見えるバッタのこと。
これは、土台になっているバッタに動いてもらうことで上の1匹が楽をしているわけではなく……。さらに、親バッタが子どもバッタをおんぶして面倒を見ているというわけでもなく……。実は、上に乗っている小さめのバッタがオスでして、繁殖期にメスバッタがほかのオスに奪われないよう、背中に乗って監視しているのだそう。
ほかのオスが近づいてくると「あっちに行け!」と追い払い行動に出るらしく、それはもうめちゃくちゃ束縛の強い超ジェラシーバッタなんです。まあ、それもこれも自身の種を残すための行動なんですが……。ずっと背中に乗って監視しているというのがおもしろいですよね。
そんなオンブバッタの生態について、伊丹市昆虫館学芸員の長島聖大さんに話を聞いてみました。
「これはおんぶしているというより……、繁殖期の交尾行動以外でも“なにか”にしがみつきたがる、いわゆるオスバッタの習性なんですよ。違う種のバッタの背中に乗ることもありますし、バッタ以外のものでもしがみつきます(笑)」(長島さん)
へえー、オンブバッタのオスはなにかにしがみつきたい衝動があるのか!? 早速実験してみようと、近くにあるオンブバッタだらけの原っぱに行ってみました。
なにかカバンの中にバッタのような細長いもんはないか? 細長いなにか……とゴソゴソ。「あった!」と取り出したのは、そう、印鑑です(笑)。
ようやく見つけた印鑑を、原っぱで見かけた小さめのオスバッタに近づけていくと……?