韓国料理の定番とも言えるキムチ。そもそもキムチとは野菜がとれない冬の間に白菜や大根を塩漬けにして、春までの保存食としたものだ。その量はとても多いため、家族や親せき一同が集まってキムチをつくる文化を「キムジャン」と呼ぶのだそう。
そこで、K-POPや韓国料理などに深い理解をもつ慶元まさ美が、ラジオ番組のなかで韓国の「キムジャン」文化について紹介した。
キムジャンは一般的に冬前の11月頃から始まる。その中でも、特に親せきや誰かの命日に集まることが多い。これは1周忌、3周忌、5周忌と期間が空いていく日本と異なり、毎年法事を行う韓国ならではの文化とも言える。さらに、2013年にはユネスコ人類無形文化遺産にも登録されており、海外からの注目度も高い。新型コロナウイルス流行以前まで韓国の首都・ソウルで開催されていた「ソウルキムジャン文化祭」では、世界各地から何千人という参加者が集まったのだとか。
しかし現在は、親せき一同が集まってキムチをつくるという機会が少なくなっているのが現状だ。その理由は都市化と核家族化。キムチづくりを行うには、大量の白菜を置ける広いスペースと時間、そして人手が必要になる。
さらに慶元は、「キムチって、実は完成まで時間がかかるんですよ。まず大量の白菜を塩漬けにするのに1日かかり、その翌日に水で塩を流して白菜を干す。絞るんじゃなくて、干して自然に水を落とすんですね。さらにその翌日に乾いた野菜を切って、唐辛子・アミエビ・たまねぎ・果物・しょうが・にんにくを混ぜ込んだ"ヤンニョム"を塗りこむ。最速で2日、最大で3日はかかるんですよ」と解説する。
量が多いとそのぶん場所が必要となるが、都心となるとそのスペースもなかなか確保しにくい。昔は広い庭のある家が多かったため、外で白菜を干していたが、現在はバスタブで行う家庭が多いとのこと。さらに、キムジャンの手伝いを嫌がり予定を作って参加しないようにする若者もいるのだという。このような要因が重なり、買った方が早いと言う人が増えてきたが、やはり"家庭の味"が反映されるからと自宅でキムチをつくる家庭もまだまだ多い。
このキムジャン文化について慶元は、「みんなが集まってひとつのことをするって、そういう文化が今も残っているのがすてきですよね」とコメント。さらに、ひとつのキムチでも「早く発酵させたいもの」「長く持たせたいもの」など、用途によってわけて保存するとさまざまな使い方ができると豆知識を披露した。
また、保存方法についても「キムチは4度を超えると発酵が進んでいくんです。つまり、温度が高いほど発酵が進んで酸っぱくなるのが早くなるんですよ。逆に0~2度では発酵しないので、韓国では設定温度が低いキムチ専用の冷蔵庫もあるほど。日本の冷蔵庫だとチルドやパーシャル(微冷凍)で保存すると風味が長持ちしますよ。もし発酵が進んでキムチが酸っぱくなってしまったら、豚キムチやスープなど加熱する事でおいしく味わえます」と語った。
※紹介した内容には諸説あります。
※ラジオ関西『Clip木曜日』「まさ美のCooking Clip」2022年11月10日放送回より