上質なミステリーです。死んだ夫の身元調査、として奇妙な依頼を受けた弁護士が別人になりすました男の真相を追う、映画『ある男』が11月18日(金)から全国ロードショーされます。
主人公は、横浜で活動する弁護士の城戸(妻夫木聡)です。
城戸は、かつて離婚裁判で弁護をした里枝(安藤サクラ)から連絡を受けます。里枝は「ある男」の身元を調べて欲しい、といいます。
里枝は離婚したあと、息子を連れて故郷の宮崎に戻り、今は実家の文房具店を継いでいます。この店に客として来た「谷口大祐」(窪田正孝)と再婚しました。新たに娘が生まれ、およそ3年間家族4人で幸せに暮らしていましたが、大祐が仕事中の事故で突然亡くなってしまいます。
大祐は群馬の伊香保温泉にある旅館の次男でしたが、生前、実家とは絶縁状態になっているから関わらないでほしいと言っていました。
一周忌を迎えて納骨することになり、里枝は伊香保にいる大祐の兄・恭一(眞島秀和)に連絡をとりました。恭一は弟の訃報を知り、宮崎に来て祭壇に手を合わせます。
ここで奇妙な事実が明らかになります。
恭一「大祐の遺影は、ないんですか?」
里枝「遺影は、それですけど」
恭一「これ、大祐じゃないです」
なんと、里枝と幸せに生活していた夫・大祐は、名前が違うまったくの別人でした。そこで、里枝は弁護士の城戸に大祐の身元調査をしてほしいと相談したのです。
依頼を受けた城戸は、里枝の夫として谷口大祐になりすましていた人物をXさんと呼ぶことにして、調査を始めました。DNA鑑定の結果、Xさんと大祐は完全な他人であることが明確になります。また、城戸の調べで、Xさんが名乗っていた大祐は単なる偽名ではなく、実際に戸籍が存在していて、Xさんが話していた経歴は本物の大祐の経歴と一致することが判ります。