連続起業家兼アーティストのCEOセオとフリーアナウンサー田中大貴がパーソナリティを務める『セケンテー/ぼくらは囚われない』(ラジオ関西 毎週木曜午後8時30分~)。11月3日の放送では、メンズファッション誌「SENSE(センス)」元編集長の守谷聡さんがゲストに登場。ファッション誌の未来について語った。
「SENSE(センス)」は2000年に創刊して以来、「ストリート魂を忘れない男たち=男が憧れる男」をテーマに、‟黒”にフォーカスしたストリートファッションやラグジュアリーブランド、ECサイトといったコンテンツを展開し注目を集めてきた。しかし、創刊時から編集長を務めてきた守谷さんの「ずっと走り続けてきた自分自身を、このタイミングで1度見つめ直して、次なる新しい道をさらに具現化したい」という思いから、2022年6月に発売された7月号をもって休刊することとなった。
そんな守谷さんをゲストに迎え、番組冒頭は「最近雑誌を読んでいるか」という話題に。開口一番に「まったく読まないですよね」と言い放ったのはパーソナリティを務めるセオ。それに対し、同じくパーソナリティの田中は「元編集長の前で……」と焦った様子。しかし、守谷さんが間髪いれずに「正直今は僕もまったく読まないです」と明かすと、田中も「僕、元フジテレビ局員ですけどテレビを見なくなりました(笑)」とためらいがちに告白し、ラジオブースは爆笑に包まれた。
アパレル事業に携っていながらも、雑誌を読まなくなったというセオ。その理由を「インターネットがあるとなんでも見られるから」「若いときはそこ(雑誌)にしか(情報が)なかったので買わざるを得なかったけど、今は手段がたくさんあるから」と明かし、守谷さんに「『そこにしかないもの』を見つけるのってすごく大変だったんじゃないですか?」と質問を投げかけた。
セオの問いに対し、守谷さんは「残念な言い方をして申し訳ないんですけど……。逆に言うと『そこにしかないもの』が今はほとんどないので、終わるのは当然だと(思います)」と率直な思いを吐露。
続けて、「自分がやっているときは自分のが一番だと思ってやっていましたが、それがないとやっぱり……。ブランドのものをそのまま出していたら、いずれ読まれなりますよね」と当時を振り返りながら、「紙にも伝達手段としての弱点がありますけど、それ以上に、『そこにしかないもの=コンテンツの1番の原点』がないっていうのが一番大変ですね」と語った。
「ファッション誌が、こうしてシュリンク(市場の縮小)していくことになったきっかけってあるんですか?」と尋ねられると、守谷さんはこのように回答した。
「デジタルの方向に向かっているとはいえ、世界には雑誌ってまだ全然あるわけで……。こんなことはあまり言いたくないけど、やっぱり編集者の力量(不足が原因)というか。自分たちにしかないものを意地でも見せたい、という思いがなくなってきたのが圧倒的な理由だと思います」(守谷さん)
「紙を作る事業を起こそうとする人がいない」。そう発言したのは、さまざまな起業家から事業の相談を受けているセオ。原因として作業工程の長さを指摘する守谷さんに対し、「そういった手間がかかることに対してのリスペクトがない限りは、誰もお金を払わないし見もしないってことですよね。だったら、アート化していくのはどうか。もっと身近にアート的な産業が増えていくべきだと思っている」と、独自の意見を熱弁した。