「カラオケ」が誕生して50年以上が経とうとしています。発祥が日本であることは多くの人が知るところ。その文化は今や世界中に広がっています。
さて、カラオケへ行くたびに筆者が気になっていることがあります。それは「カラオケの背景映像」。楽曲にあわせて流れるどこか古めかしい感じのする映像はどのように作られているのか、“今っぽくない”雰囲気なのはなぜか……さまざまな疑問を、業務用通信カラオケ「JOYSOUND」を展開する『エクシング』(本社:愛知県名古屋市)に聞いてみました。
まず、背景映像はどういう理屈で曲へ割り振られているのか質問しました。
「カラオケ機器のハードディスクには数千種類の背景映像が収録されており、機械が曲のテーマに合わせた映像をランダムで選ぶシステムになっています。同じ曲を続けて歌った場合、昔は同じ映像が出ていましたが、現在は違う映像が出てくるプログラミングとなっています。同じ曲を何度も歌う人もいますので、多くの映像パターンを用意して飽きない工夫をしています。ハードディスクの容量が昔と比べて増えたこともそれが可能になった理由のひとつです」(エクシング)
古っぽく見えるのは、昔に作られた映像を今でも使っているからかもしれない……と筆者は予想しましたが、エクシングからは意外な回答が。
「あまりにも古い映像は削除し、新しい映像をどんどん配信しています。新作の撮影も、定期的かつ頻度が高くなっています」(エクシング)
積極的に新作映像が作られているわりに、テイストに“古くささ”を感じてしまうのはなぜなのでしょう?
「撮影頻度が高くなったとはいえ、映像は長く使用できることを前提にしています。そのため時代ごとに発生するトレンドを感じさせないよう、“普遍さ”をかなり意識して制作します。ですが、“普遍的”であるがゆえに“イマドキではない→古い”という印象につながっている可能性はありますね」(エクシング)
“トレンドを感じさせない普遍的な映像”とは、具体的にどういったものを指すのでしょうか?
「例えば、モバイルフォンは“時代によって頻繁に変化するモノ”であるため、登場させないようにしています。ほかにも生活用品や化粧・ファッションなども時代の流行を反映しない普遍的なものを使うようにしています」(エクシング)