兵庫県加東市の池で2021年7月、孫の男児(当時2歳)を溺死させたとして殺人罪に問われた祖母(51)の裁判員裁判で、神戸地裁姫路支部は2日、懲役8年の実刑判決を言い渡した(求刑・懲役12年)。
起訴状によると、祖母は2021年7月21日夜~翌22日朝、同居する孫を抱きかかえて池に入り、溺死させたとされる。祖母は起訴状の内容を認めている。
公判では、祖母が日常的にけんかの絶えない娘夫婦に代わり孫の面倒を見ていたが、確執があった娘婿とこれ以上関わりたくないとして孫と無理心中を図ったと、犯行動機を明かした。
検察側は、娘夫婦のけんかが絶えず、孫の世話を自ら申し出たが、娘の夫との確執で無関係の孫を巻き込み無理心中しようとしたと指摘。
一方、弁護側は交流サイト(SNS)で、作り話のように被告を誘拐犯呼ばわりした娘婿の投稿を見て精神的に追い詰められたなどと主張。被告は反省しており、執行猶予付きの判決を求めていた。
判決で神戸地裁姫路支部は、被告が孫の目の前でもけんかをする娘夫婦を見て、先行きを憂慮して孫を引き取ったが、誘拐犯呼ばわりされて憤りを募らせたと認定。
nその上で「被告にはもともと『軽症うつ病エピソード』という、うつ病よりも程度は軽いが気持ちが落ち込む症状があり、深く絶望して自殺サイトを検索したり、夫への遺書を綴っていた点や、2歳の幼児と池に入ることは、ほぼ確実に死に至らしめることを認識しており、心中しようとした気持ちも強く、同種事案と比べても軽い部類とは言えない」として懲役8年を言い渡した。
最後に裁判長が「被告は孫と一体化しようとしていたが、そうではない。孫には孫の人生があった。幼い命を失ったことに対する謝罪の気持ちを忘れないで」と諭した。