コンサートなどでよく見かける「イヤモニ」。最近では小規模のライブやイベントでも使用され、身近になってきました。そんな「イヤモニ」について、普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、ラジオ番組のなかで解説しました。
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今年はまだコロナ禍ではあるものの、感染対策をとったうえで各地でたくさんのライブやイベントが開催されるようになりました。
そのなかで昨今のライブなどにつきものなのが、「イヤモニ」です。ホールやドームなど大規模なコンサートでは主流ですが、最近では小規模のライブやイベントでも使われるようになってきました。近頃のアーティストのライブでは、肉眼ではなかなか見えませんが、ライブ映像を見てみると、ほとんどが耳にイヤホンをつけています。
「イヤモニ」は「イン・イヤー・モニター」のことで、ワイヤレスの技術を使用して、ステージ上のモニターをワイヤレスイヤホンで行うシステムです。
ライブではモニタースピーカーがステージ上に置かれてミュージシャンに向けられていますが、その音量が大き過ぎると、お客さんに向けられたメインのスピーカーにも悪影響を及ぼすことがあります。
「イヤモニ」を使うことで、アーティストにとっては自分の聞きたい音をクリアに聞くことができますし、スピーカーをたくさん設置しなくても良くなるので、機材面でも先のような悪影響が出にくくなったり、搬入搬出における時間とコストが節約できる利点があります。
さらに、ステージ上を動き回るアーティストであれば、「イヤモニ」を使うことで、モニタースピーカーの前にいなければいけないなどスピーカーの位置に制限されることなく、ステージ上を自由に移動することができます。
ただ、最近ではこの「イヤモニ」で難聴になっているのでは、というアーティストの話も聞くようになりました。
「イヤモニ」は便利ですが、ハウリングなど、突然の大音量を出してしまうと、耳や脳に直接の強いダメージを与えてしまうため、深重に扱わなければなりません。多くのコンサートで「イヤモニ」をずっと使っているアーティストは、難聴を心配する人もいるようです。
機材をレンタルして、イベントなどではじめて使用するという人は、耳への負担を十分に考えて使用する必要があります。「イヤモニ」だけでなく、普段からイヤホンで大音量で音を聞いている人も難聴にならないための注意が必要です。最近ではロックコンサートで子どもにヘッドホンをつけ、大音量から耳を守ることも増えてきました。
きちんと調整すれば、「イヤモニ」はとても便利です。自分の耳の型を採取して製作するカスタム・イン・イヤー・モニターや、音質だけではなく汗や水にも強いタイプのイヤホンも登場しています。
「イヤモニ」からはスピーカーよりも繊細な音が聞こえます。サウンドエンジニアのシビアな音調整が、アーティストのパフォーマンスにつながっています。
※参考「音響映像設備マニュアル 2021年最新大改訂版」(リットーミュージック)
※ラジオ関西『おしえて!サウンドエンジニア』 2022年12月11日放送回より
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【放送音声】2022年12月11日放送回