最近では当たり前になった配信ライブ。その「音」に特化した楽しみ方について、普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、ラジオ番組のなかで解説しました。
最近では有名アーティストがオンラインでライブを配信することも普通になってきました。コロナ禍で一時は無観客での開催となったことも大きな要因ですが、観客を入れたライブで「配信もある」というケースも増えてきました。会場に行かなくても見ることができるのはもちろん、期間限定で見直すこと(見逃し配信)も可能になり、会場よりもチケット代を安く設定している場合もあるため、配信ライブの人気が高まっています。さらに、生のコンサート会場ではなかなか見られないカメラアングルも楽しめたり、アーティストの顔のアップを見ることができるのも、配信ライブの魅力です。
そして、配信ライブでは「音」の面でもメリットを受けられる場合があります。生配信のコンサートをヘッドフォンで聴いた場合、その会場で音をミックスしているエンジニアと同じ音が聴こえるという点です。
ライブのDVDやBlu-rayなどは、CDと同じく、あとで音をミックスダウン(音の調整や、楽曲を聴きやすくする音作り)していることが多いです。音圧も上がり、かなりCDなどに近い加工がされていることもあります。
それが、生配信ライブのミックスでは、本当の“ライブミックス”(ライブ仕様の音作り)になっているのです。
もちろん、会場に行って生でライブを聴くのが1番良い、と思うかもしれません。ただし、会場では、PAスピーカーの音や周りの歓声(最近では拍手のみの場合が多い)とともに、臨場感を楽しむ場合が多いものです。
もし本当に音の繊細さを体感したいのであれば、会場に行って、周りの雑踏を気にせずヘッドフォンで聴きたいところですが、それは現実的になかなか難しいことです。
それでも、一流アーティストと渡り合っている一流サウンドエンジニアのヘッドフォンミックスが、そのままヘッドフォンで聴けると考えれば、録音してあとでミックスした音とはまた違い、生のライブミックスならではの感動が味わえるはずです。ぜひ、家で配信ライブを見るときも、ヘッドフォンや良いスピーカーなど、良い音環境で楽しむのをおすすめします。家では大音量でスピーカーを鳴らすのは難しいという方は、定番と言われるSONY「MDR-CD900ST」クラスのヘッドフォンを使えば、音の醍醐味を体感できると思われます。
ヘッドフォンでは長めのライブだと耳が疲れることもあるので、自分にあったヘッドフォンやイヤホンを見つけておくのも良いですね。
※ラジオ関西『おしえて!サウンドエンジニア』 2022年12月18日放送回より
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【放送音声】2022年12月18日放送回