植物が根を張り、動物や昆虫たちが住み、資源、遺跡、化石も眠る、ロマンに満ちた地下。大阪平野の地下をメインに、何がどのように在るのかを貴重な資料や研究成果で紹介する特別展「大阪アンダーグラウンド RETURNS 掘ってわかった大地のひみつ」が大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区)で開催されている。2023年2月26日(日)まで。
2021年春に開催していたものの、コロナ禍の影響で休館となり、8日間しか公開できなかった同タイトル展を再構成した内容で、主担当の石井陽子学芸員は「展示の構成配置、資料の見せ方を改善した。前回よりも見やすく、親切な展示となっています」と呼び掛ける。
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最初の展示は、地下を調べるための道具や方法が紹介されたコーナー。その最後に“トンネル”がある。心なしかふわふわしたそのトンネルを通り抜けると、地下6400キロメートルから数キロまでの世界が広がっている。地球の核、マントルを作る物質や調べ方、地震と関連するプレートの活動などについての解説、多種多様な岩石などが並ぶ。
目玉の1つは、大阪府貝塚市で出土した白亜紀後期のアンモナイト化石「ゴードリテラス・イズミエンゼ」。この標本を元に新種として名付けられた貴重な模式標本で、「イズミエンゼ」は発見された大阪府南部の和泉山脈に由来する。
約350万年前から現代までの大阪平野の地層の成り立ちが分かる一覧表(「大阪層群の総合層序図」)が圧巻だ。
大阪の平野部は、氷期と間氷期の繰り返しによる寒冷化と温暖化の影響により、陸になったり海になったりを何度も繰り返してきた。さまざまな時期に海底となった平野部で形成された粘土層、複数回の巨大噴火によって広範囲に降り注いだ多数の火山灰層をすべて網羅し、気候変動曲線に読み替えができる酸素同位体曲線と対比、その上で、各時代に対応する植物化石、花粉化石、大型動物化石を図示、時代ごとの地層と古生物、古気候などの関係性が一目で分かるようになっている。
たとえば、ゾウの仲間の化石が見つかる地層の時代を種類ごとに整理すると、新しい種類のゾウ化石が見つかり始める直前の時期に、非常に寒冷な氷期があることが分かる。そのような時期にはアジア大陸と日本列島が陸続きとなり、それまで同列島にいなかったゾウの仲間が大陸から入ってきたと推測されているという。