受験シーズンが到来した。学問の神様・菅原道真公を祀り、神戸では「須磨の天神さま」と親しまれている綱敷天満宮(神戸市須磨区)には合格祈願の参拝客が多く訪れる。
綱敷天満宮は、その名前の由来にも菅原道真が関係している。菅原道真が京都から大宰府へ向かう途中、須磨浦で嵐による高波に遭い、この地で休むことになった。住民たちは船綱を巻き敷物がわりの円座を作ってもてなしたと伝えられ、これが神社名の由来となった。この「綱敷の円座」のオブジェが本殿前に置かれているが、このほかにも境内にはたくさんのユニークな縁起物であふれている。
人生が思うとおりになるように「思うつぼ」と書かれた壺は“願い玉”というお守りを入れれば願いが叶うとされている。どんな願いも叶うというナスの腰かけも笑いを誘う。
そしてなにより目を引くのは、サーフボードを持つ子ども姿の菅原道真像。「人生、波に乗ってほしい」という願いがこめられ、最近では“波乗り神社”として有名になりつつあるそうだ。サーフボード型のお守りや絵馬なども人気だという。
「神社はお正月しか参らないという人がほとんど。毎月新しい気持ちで参ってほしい」と語るのは、綱敷天満宮の久野木晶子さん。そのため御朱印は月ごとに絵柄を変えるという。種類が多くて迷う参拝客も多いのだとか。
「清め鈴」と呼ばれる土鈴や、パステルカラーのだるまなどは職員が一つひとつ手書きし心をこめて作っている。また、鷽鳥(うそどり)の木彫りのお守りにも注目だ。鷽鳥は、災厄いをすべて“ウソ”に変え、“良いこと”にできると信じられており、家に置いておくといいらしい。
たまたま絵が得意な職員が多かったそうで、久野木さんが希望を伝えるとそれに沿った絵を描いてくれるのだという。久野木さんは「既製品でなく手作りすることで、皆さんに真心が届いてほしいと始めました」と話していた。