さて皆さん、先週は10年に1度といわれるほどの寒波が日本を襲い、翌朝にはかなりの雪が積もっていました。兵庫県南部では久しぶりに雪が積もったこともあり、テンションの上がった子どもたちが朝から雪をかきあつめて雪だるまを作る、作る……。大小さまざまな雪だるまが数多くの庭先に飾られていました。
そんななか、とある家を通りかかった際に見かけたんです。降り積もった雪の上に、くっきりとした顔型があるのを……。よくよく見てみると、目、鼻、口、眉毛、シワに至るまでしっかりと、まるでハンコをついたかのように雪に刻み込まれているんです。
家の人に尋ねてみたところ、「はい。子どもと一緒に楽しんで作った雪の顔拓です(笑)」という回答が。
にこやかな答えが返ってきましたが、目に入る顔拓はあまりにもリアルに刻み込まれていたので、一体どのようにして雪に顔をつけたらこうなるのかと、謎は深まるばかり。お母さんとお子さんは「普通に雪に顔をつけただけやで」と言うのですが……。
私も以前、降り積もった新雪に体ごとダイブしてみたことがあるのですが、体の線はついたものの、こんなにも細かく刻み込まれることはありませんでした。
この謎に迫るべく、世の中の「なぜ?」に科学的視点で解説をしてくれる、大阪公立大学理学部で非常勤講師を務める山田善春先生に聞いてみました。
先生いわく、「これは今回の10年に1度の寒波が関係していますね」とのこと。詳しく尋ねてみると……。
「上空がマイナス15度以下になると、空気中にあるほとんどの水分が雪へと変わるため、水分がなくなり空気は乾燥します。乾燥しているうえに低温だと雪と水分とがくっつかないため、サラサラの雪ができます。これが粉雪、いわゆるパウダースノーと呼ばれるもので、同じく気温の低い地上に降るとサラサラな状態のまま降り積もるのです」(山田先生)
確かに、今回の雪を手で握ってみると粒子が細かいというか、「ギュッ!」「ギュッ!」とした、まるで片栗粉のような感触でした。
さらに、山田先生はこのように続けます。