マスクの着用について、政府は3月13日からは“個人の判断に委ねる”ことを決定しました。コロナ禍を経て当たり前となったマスクの着用ですが、いざ外してもよいとなると周囲がどう反応し対応するのか……はっきり言って想像がつきにくいですよね?
そして、マスク同様に我々の生活の中ですっかり習慣となったのがアルコールによる手指などの「消毒」。マスク解除後も、こちらは意識的に継続されそうな気がします。量販店でも関連グッズが多く並ぶようになった今、筆者はあらためて「消毒」「除菌」「殺菌」「滅菌」の意味を整理してみようと思いました。この4つの言葉に意味や用途など明確な違いはあるのか、詳しい話を除菌スプレーを取り扱う製薬会社『全薬工業株式会社』(東京都文京区)の衛生事業推進課・小野さんに聞きました。
全薬工業では『ピーズガード』という除菌スプレーを販売、ウイルスや菌を「99.9%」除菌できる(すべてのウイルス・菌を除菌できるわけではありません)としています。この“除菌”とはどういう意味を持っているのでしょうか?
「除菌とは“菌やウイルスを取り除いてその数を減らすこと”を指します。減らす菌やウイルスの数・種類については明確な決まりはなく、薬機法上に除菌の定義も無いため、医薬品以外の雑貨・日用品などでも自由に使用することができます」(小野さん)
かなり極端な話、たとえ1%でも除菌することができるのならば“除菌”と表現できるそうですが「法的な規制はありませんが、どの企業も“除菌”と明記するからには実際の効果に十分な注意を払っています」と小野さんは言います。
では「消毒」は?
「消毒とは“細菌やウイルスなどの毒を減らし感染力を失くしたり無毒化したりすること”を指し、細菌やウイルスが存在していたとしても病原体として役割を失っていれば“消毒”となります。有効性や安全性が確認された医薬品や医薬部外品でしか使用できない言葉です」(小野さん)
ちなみに医薬品・医薬部外品は「人や医療器具等に対して用いられることが目的」としているものに分類されています。
“殺菌”・“滅菌”はどうなのでしょうか。
「殺菌は文字通り“菌を殺すこと”で、除菌と同じく殺す菌やウイルスの数について明確な定義はありません。ただし薬機法によって“殺菌”と表示ができる商品は、医薬品や医薬部外品のみに限られています。消毒剤や薬用石けんなどでは、よく見かけるのではないでしょうか」(小野さん)
さらに
「滅菌は“菌やウイルスといった微生物の数を限りなくゼロに近づける”ことで、滅菌前の状態から微生物の数を100万分の1以下に減らすことを指します。定義も明確で、最も強力な作用です。基本的には医療に馴染み深い言葉で、手術用具や注射器などには必ず“滅菌”が施されています」(小野さん)