コンサートのステージなどで見かける「マイクスタンド」について、普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、ラジオ番組のなかで解説しました。
ライブやイベントのステージで見かける「マイクスタンド」ですが、このセッティングは、実は、簡単そうに見えてコツがいるものです。マイクスタンドの位置やマイクセッティングで、収音できる音も違ってくるので、シビアなスタジオレコーディングやコンサートでは、熟練の音響エンジニアやスタジオエンジニアが微調整を行っていることが多いです。
マイクスタンドといえば、いろいろな種類がありますが、よく使われているものがあります。その1つ、「K&M」(ケーアンドエム=ケーニッヒ・アンド・マイヤー)は、1949年にドイツで設立された世界屈指のスタンドメーカーで、音楽業界ではスタンドの標準ともいえるものです。スタンドやアクセサリーなど、すべてドイツで設計され、安定感があって丈夫です。たいていのスタジオには置かれています。
「K&M」のマイクスタンドで、音響の現場でよく使われているのが、ブームタイプの「21020B」です。高さ調節ができて、ブームの調整でかなりいろいろなマイクセッティングができるスタンドです。色はシルバーや黒、グレーがあります。音響現場では「にーいちまる」「にひゃくとう」などと呼ばれることも。スタンドを立てるときには、足もとのネジを演者側に向けて、きれいに見えるようにセッティングするのがコツです。マイクスタンドなど、機材を使うときには、指を挟んだり、けがをしないように手袋をしてセッティングするのが良いです。
同じく「K&M」の259シリーズも、よく登場します。こちらはショートスタンドともいわれますが、ブームスタンドで高さが低いものです。楽器用のマイクとしてよく使われています。ドラムやギターアンプなどのマイキングでよく使われています。楽器用マイクは、すごく重いマイクもあるので、ネジがしっかり止まって倒れないものが良いです。また、歌手が舞台のセンターで歌うときによく使う、ブームがついていない、ストレートタイプのマイクスタンドもあります。「K&M」の他にも「TAMA」や「CLASSIC PRO」のマイクスタンドもよく使われています。
ラジオのスタジオでは、卓上マイクスタンドもよく使います。また、マイク用だけでなく、スピーカーを立てるためのスピーカースタンドや、ラジオのアンテナを立てるために、スタジオ用の重量感のあるスタンドを使うこともあります。よく使われるのは高砂製作所のスタンドですが、こちらは2017年に生産を終了しています。
ギタースタンドやキーボードスタンドなど、スタンドにはいろいろな種類がありますが、大切な機材を支えるので、頑丈で安定感があるもの、かつ、ネジが固すぎずにしっかり締まるものが良いとされています。外の現場で使う場合や、保管場所によっては、さびないように気を付けましょう。
※ラジオ関西『おしえて!サウンドエンジニア』 2023年2月12日放送回より
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【放送音声】2023年2月12日放送回