1960~1970年台に日本全国で流行した「地球ゴマ」。科学とおもちゃの融合によって生み出される、従来のコマとは異なる不思議な回転に魅了され、屋台などの実演販売を長時間見ていた、という人も多いのではないでしょうか。
現在では、次世代型コマとして「地球ジャイロ」も登場。生産したのは、タイガージャイロスコープ株式会社だ。タイガー商会で地球ゴマの製造に携わり、そこで培った経験を活かして今も生産を続ける同社の代表・鳥居賢司さんに話を聞いた。
――「地球ゴマ」はいつから製造されていたのでしょうか?
【鳥居さん】 地球ゴマが開発されたのは、実は結構昔なんです。製造を行っていたタイガー商会は、1921(大正10)年の愛知県名古屋市・千種区での創業と同時に製造を始めました。つまり、現在から約100年以上も前から販売されていたのです。
――誕生のきっかけは?
【鳥居さん】 タイガー商会の初代社長である加東朝次郎さんが海外の科学雑誌に掲載された“ジャイロスコープ”を見て、「これを日本でもおもちゃとして売り出したらおもしろいのでは」と考えたのがきっかけだった
ようです。
ジャイロスコープという技術は、現在も飛行機の自動操縦、船の横揺れ軽減、人工衛星、工業製品を含めたさまざまな分野で多く利用されています。身近なモノですと、平衡(へいこう)感覚を保つための技術としてスマートフォンなどにも使われています。200年近く前から存在する技術ですが、今もなお、生活のあらゆる場所で使われているんです。
――全盛期は?